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中日“チームの情報漏らした説”で二軍コーチに降格…落合博満監督1年目に起きていた事件「なぜ俺が一軍から外れたのか」鈴木孝政がいま明かす“真相”
posted2025/03/14 11:01

2003年オフ、落合博満は中日の監督要請を受諾すると、鈴木孝政にコーチの依頼をした
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph by
Hideki Sugiyama
どんな名将も、最初は手探りである。試合中、一切表情を変えない中日の落合博満監督も就任1年目の4月には、アレックスのサヨナラ弾に万歳して喜びを爆発させていた。その時、ベンチで抱き合ったのが鈴木孝政投手チーフコーチだった。
「みんな、落合さんの話を聞きたがるけど、あんまり喋りたくないですよね。縁がなかったなっていうぐらいでね」
今回の取材では星野仙一監督、落合監督、立浪和義監督、井上一樹監督について聞きたいと申し入れていた。だが、開始から1時間20分が経とうとする頃、落合の話題を振ると、突如として柔和な表情が曇った。
「やはり語ってはくれないか…」
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2003年オフ、落合は中日の監督要請を受諾すると、ドラゴンズ時代にチームメイトとして戦った孝政にコーチの依頼をした。
「自宅に電話があって、40分くらい喋りましたよ。落合さんとは現役の頃、ナゴヤ球場でロッカーが隣でした。全然片付いていない俺と違って、すごく綺麗なの。自分でソックスやアンダーシャツをきちんと畳んで、積んでいましたから。『少しは片付けろ』ってよく言われた。(遠征用の)トランクの中も、まるで薬箱のように綺麗に揃えてましたね」
落合の現役時代については流暢に話してくれる。だが、監督時代の話題は避けたい様子が伝わってくる。そのため、立浪監督や井上監督の話を先に聞いた。そして、取材が1時間50分を過ぎる頃、再び落合監督の話を振った。
「今思ってることはね、落合さんがオリンピックやWBCの監督を務めてもいいのになって。だって、選手や監督として実績十分でしょ。昔と違って、今は71歳でも若いからね」
またしても、話題は核心から外れていった。取材現場に、投手コーチ時代を振り返りたくない雰囲気が充満していた。やはり、話してもらえないのか……。諦めかけたその時、現役時代の愛犬の話をしていた孝政は「無駄話ばっかになっちゃってる。そろそろ落合監督の話、しないとね」と自ら切り出してくれた。取材が2時間を回った頃だった。