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中日“チームの情報漏らした説”で二軍コーチに降格…落合博満監督1年目に起きていた事件「なぜ俺が一軍から外れたのか」鈴木孝政がいま明かす“真相”
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岡野誠Makoto Okano
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/03/14 11:01

2003年オフ、落合博満は中日の監督要請を受諾すると、鈴木孝政にコーチの依頼をした
落合監督1年目で辞任「いちゃいけないかな」
――孝政さんが、田尾(安志)さんのYouTubeでも話していらっしゃいましたけど。
孝政 はい。
――最初、ヘッドコーチで始まって。その後、投手チーフコーチに。
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孝政 はい、はい。
――それで、二軍のコーチに。外部の人間にはわからない、辛さがあると思うんですけど。
孝政 まあね。だんだん離れていきますからね。(気持ちが)離れてく。それは、俺が一番感じますからね。だんだんね、「いちゃいけないかな」みたいな感覚になってきますよね。
――いつぐらいから、空気を感じ取られたんですか?
孝政 うーん……どうかな。キャンプくらいからですよね。
――春のキャンプから。
孝政 春のキャンプくらいから。秋はね、まだそんなことはなかったですね。俺は何しろ、「お手伝いしよう」って、それしか頭になかった。
現在の通説では、鈴木孝政投手チーフコーチが報道陣に先発情報などを漏洩していたため、落合監督が二軍投手コーチに配置転換したとされている。これは、本当なのだろうか。
開幕投手知らされず「ショック」
予告先発ではない時代、誰が登板するかは機密情報だった。2004年1月3日、落合監督は開幕投手に3年間一軍登板のない川崎憲次郎を指名する。この情報は投手コーチの森繁和を含む3人だけの秘密になっていた。この時点で、投手チーフコーチの鈴木孝政は落合監督に怪しまれていた可能性は否めない。
「開幕当日に知ったんですよね。『川崎!? え~~~~』だったな、本当に。俺は野口(茂樹)だと思ってたの」
24時間前、野口がブルペンで投球練習をしていた。先発前日はノースロー調整の左腕に対し、孝政が「なんでピッチングしてんの?」と尋ねた。「え? 僕、開幕投手じゃないですよ。鈴木さん、知らないんですか?」と返されると、孝政は「知らない」と静かに俯いた。寡黙な野口は「ええ~~!」と驚愕した。
「ショックだったな。恥かいたね。開幕投手が誰なのか、落合さんに聞きに行った覚えもないですね」
孝政は自分への冷たい空気を感じ取っていた。それでも、シーズンが始まれば、ベンチでブルペンの森繁和コーチと連絡を取りながら、落合監督に継投の判断材料を与えていた。