「これは…ちょっとものが違う」ロッテのドラ1ルーキー西川史礁“最初の一振り”で吉井監督が見抜いた才能「一流だけが自然に出来る」ある動作とは 

　西川の積極性のある打撃は、実戦が増えてくるにつれ、吉井監督だけではなく誰もが知ることとなった。一度、目にした人はその積極的な打撃に魅了されていく。西川もまた意識的に大学時代から貫く哲学をプロの世界で見せ続けた。

積極的な打撃の原点

「このスタイルは大学の時からずっと。ヒットになる確率の高いカウントは浅いカウント。2ストライクまで追い込まれたら、確率は1割以上下がる。そういう面でも見逃すのはもったいないと思っている。ピッチャーがとりにきたファーストストライクをしっかり振ることを考えて毎打席立っている」

青山学院大時代の西川　©︎Hideki Sugiyama

　積極的な打撃は、4年間を過ごした青山学院大学野球部に貫かれる方針でもあった。最初はなかなか思うようにいかない時期もあったが、努力と工夫を重ね大学3年時にはそのスタイルが徐々に確立されていった。

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「青学自体がそういうスタイルだった。最初は積極的に行こうと思っても、なかなか考えていることが結果に結びつかなかった。大学生活の中でそういうところをしっかり工夫して、どうしたらファーストストライクを力強いスイングで確実に仕留めるかと考え続けた。そこで培ったことを今に繋げてやっていると思う」と西川は振り返る。

「回転力」は天性の才能

　この若者の積極性とフルスイングの起点にあるのは「コマのように回る腰の回転力だ」と分析するのは大塚明チーフ打撃コーチだ。

「下半身が回せるって、なかなか出来そうで出来ない。もちろん、みんな回そうと意識はするけど、回らない。プロで本当に出来ている人って一握り。でも彼は特徴として無意識だけど本当に回せる。彼の良さはクルッと自然に回せること。一流になるにはその要素は不可欠。あそこまでキレ良く回せるバッターはなかなかいない。センス。才能が凄い」

バッティング練習するロッテ・西川史礁。この「回転力」は大きな武器だ　©︎JIJI PRESS

　普段は選手たちに厳しい目を向けることが多い鬼軍曹が、西川の打撃をベタ褒めした。そして「打球の質が違う。恐ろしいバッターになる可能性を秘めているのではないか」と言葉を続けた。なかでも今後の可能性を強く感じているのは低い弾道。ZOZOマリンスタジアムは一般的に高く上がる打球よりもライナー性の打球の方が飛距離は出る傾向にあると言われている。この西川の打球の特性も本拠地にはピタリとハマり、さらにその可能性を広げるのではないかと分析している。

「全部、成長したい」

　西川自身はこう振り返る。

「自分の持ち味は打撃なのでそこをアピールしていきたい。ただ、まだまだ甘いところはたくさんある。全部の面でまだまだ。もっともっと向上心をもってやっていきたい。全部、成長したい」

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