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「あれ、タケ(久保建英)の本心ですから」“五輪・W杯で連続落選”日本代表DF菅原由勢が報われたゴール「一番感動した」瀬古歩夢と谷晃生の祝福
posted2025/03/13 17:02

日本代表24年11月シリーズでの一コマ。久保建英とコミュニケーションを図る菅原由勢
text by

林遼平Ryohei Hayashi
photograph by
Zhizhao Wu/Getty Images
W杯落選は“最悪で、最高の瞬間”だったワケ
欧州に渡って5年が経ち、念願のプレミアリーグの舞台に立った菅原由勢だが、これまでのサッカーキャリアを振り返ると、こと日本代表においては決して順風満帆な道を通ってきたわけではない。
世代別の日本代表を長らく経験してきたが、19歳になる年に迎えたU-20ワールドカップ(W杯)は自身のバックパスを奪われたところから決勝点を献上し、ベスト16で涙を飲んだ。そして、2021年の東京五輪は最終メンバーに残ることができず。翌年のカタールW杯も名前が呼ばれることはなかった。
いいことばかりではない。何度も悔しさに打ちひしがれたことは容易に想像できる。それでも、カタールW杯後に菅原の口から出てきた言葉からは、すでに前を向き、次の目標に進んでいることが伝わってきた。
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「W杯の落選は最悪の瞬間でもあり最高の瞬間でもありました」
改めて、この話を聞いてみたかった。選ばれなかった悔しさを考えれば、そう簡単に言えることではない。なぜ、あのとき、そんな言葉を選択できたのかと。
「そんなこと言ってたんですね。オレ、かっこいいな」
菅原は照れ笑いを浮かべながら、当時の心境を振り返った。
「表裏一体というか、どう捉えるかだと思っているんです。例えば、何かを受けて合格か不合格かって時に、合格したからといって人生が華やかになるかといったらそうではない。東大に受験して受かったとして、そこからの人生がどうなっていくかは本人次第じゃないですか。逆に悔しさを肥やしにして、人一倍努力したり積み重ねていった方が味のある人生になるかもしれない。だから、僕はメンバーから落ちたときに、これを最高の結果だと言えるようなキャリアにしていこうと考えたんだと思います。
最悪を経験すれば、最高に近づいていくしかないですから。W杯のメンバー選考は(現地時間の)朝6時ぐらいに起きて見ていましたけど、今までの人生で最悪な寝起きでした。だけど今言った考え方なら、最高な寝起きでもあったわけです。いま思うと、そんなマインドセットができるようになったのは、その瞬間でもあったかなと」
五輪やW杯に出られなくてもサッカー人生は
今までの挫折を無かったことにしない。それを含めて自分のサッカー人生であると捉え、自身への研鑽を欠かさずに日々を過ごしている。サッカーに対する真っ直ぐな情熱は菅原の魅力に他ならない。