「正直に言うと、夢がないなと」春高3連覇の駿台学園をなぜ辞めた？ 高校バレー名将が大阪ブルテオン“移籍”へ…決断の背景に“部活が抱える課題”も 

　梅川監督は社会科教諭として授業を持ちながら担任、学年主任を務める。入試から進学・受験まで指導をこなす教員が本業で、部活動の指導はあくまでオプション。全国制覇、ましてや3連覇を成し遂げようとも待遇が変わるわけではない。さまざまな会議で割かれる時間は多く「すべてをフルで取り組んでいたら全く時間もないし身が持たない」と笑うのも、決して冗談ではない。

　加えて、梅川監督の場合は“オプション”である部活動で大きなプレッシャーを背負ってきた。私立の駿台学園では、付属中学があるものの、外部の中学校から選手を勧誘し、強化に務めてきた。チーム目標や課題は選手たちが自発的に決めるが、強豪ゆえに学校や周囲からは常に勝つことを期待されている。

「私自身は勝つことだけでなく、ここでバレーを学んで、土台をつくって、その先につながる選手になってほしいと思って接してきた。勝つためのチームよりも世界で戦えるような“個”を育てたいんですよね」

総合力の高い選手を揃え、春高バレー3連覇を達成した駿台学園。梅川監督は世代を牽引するチームを作ってきた　©︎Yohei Osada/AFLO SPORT

梅川監督が見据える強化プラン

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　ジレンマを抱える中で、転機が訪れた。今季から本格始動したSVリーグでは、外国籍選手の人数やホームアリーナなど新たなライセンスが設けられる中、向こう3年の間にすべてのチームが現状の「U15」に加えて「U18」を保有することも条件に加えられた。つまり、バレーボール界としてユース年代の強化に着手し始めた。

　チーム名を含めるリブランディングを行った大阪ブルテオンは高体連でトップクラスの実績を残し、“個”を育てたい梅川監督に白羽の矢を立てた。

　与えられる役職はU12、U15、U18を統括する「アカデミーダイレクター」。だが、変わらず現場に立つ。U18世代の公式大会が設けられるのかすら未定の状況下だが、梅川監督が見据えるプランは明確だった。

現在SVリーグで首位を走る大阪ブルテオン。多くの日本代表選手たちが在籍している（写真はリーグ開幕戦）　©︎Kiichi Matsumoto

「（ブルテオンの）U15は全国で優勝するなど力のあるチームなので、さらにチーム間、AチームとBチームの競争を激化させたい。身体づくりと並行して試合経験も重ねていくことも大切なので、高校の先生方とも連動して、たとえば高校のBチームと中学生が戦う大会を開催する。どちらの選手にとっても試合ができる、貴重な機会になるはずです」

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