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全国高校駅伝「前回準優勝」高校から選手の9割が集団転校の衝撃…残されたチームの再建はどうなる? 過去のケースから見る「復活への道」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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posted2025/03/06 17:04

全国高校駅伝「前回準優勝」高校から選手の9割が集団転校の衝撃…残されたチームの再建はどうなる? 過去のケースから見る「復活への道」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2012年、宮城・仙台育英高からの転校組を主力として初出場で都大路の初優勝を決めた愛知・豊川高。卒業後も選手たちは結果を出した

 チームを率いた森安彦監督が慎重に言葉を選んで話していたのも印象的だった。

「良かったのか、悪かったのか。僕の口からは言えない。それを言えるのは、これだけに懸けてきた選手たちだけです」

 レース後のそんな言葉に、当時の指導者の置かれた悩ましい状況が見て取れた。

高校卒業後も活躍を見せた「転校組」

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 議論を巻き起こし、モヤモヤを残した一方で、大舞台で快挙を成し遂げた生徒たちは、素直に喜びの言葉を口にしていた。

 一色は京都出身、服部は新潟出身で、そもそも仙台育英にも越境入学で強さを求めていた。大人の事情に巻き込まれ、17歳で大きな決断を迫られた彼らのことを、批判する権利は誰にもなかったはずだ。

 その後、服部弾馬は兄の勇馬とともに東洋大で活躍し、大学1年目には箱根駅伝で優勝を果たした。また、一色は青学大に進みエースとして活躍。2年時以降は箱根駅伝の優勝街道を歩んだ。彼らのその後の活躍を見れば、あの時の決断は間違っていなかったと肯定したくなる。つまりは、未来ある高校生の可能性の芽を摘まないことが、何よりも大事なのではないか。

 集団転校の影響はあまりにも大きい。ライバル校の生徒やもともと所属していた選手の心情も慮れば、安易に意見を口にするのも難しい。大牟田高から鳥取城北高に転校する生徒たちにも批判の声は及ぶかもしれない。だが、それでも彼らの決断は尊重されるべきではないだろうか。

【次ページ】 残された名門・大牟田高の再建は?

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