全国高校駅伝「前回準優勝」高校から選手の9割が集団転校の衝撃…残されたチームの再建はどうなる？ 過去のケースから見る「復活への道」 

　ちなみに同様のケースはこれだけではなく、2014年には今度は豊川工高から東京・日体荏原高に8人の選手が集団転校している。この時は前年に指導者が不祥事で退職後、新たに別の学校の監督に就任したことに伴った転校であり、今回の大牟田のケースにより近いといえるかもしれない。

残された名門・大牟田高の再建は？

　大牟田高の再出発も気がかりだ。報道によると同校OBの磯松大輔氏が監督に就任予定だが、ほとんどゼロからの出発。再建の道は決して容易なものではない。

　では、当時の仙台育英高はどうだったのか。

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　2012年に男子監督に新しく就任したのが、現在大東大を率いている真名子圭氏だった。部員8人から再出発したものの、やはり苦労の連続だった。全国高校駅伝への連続出場が20年で途切れてしまうなど茨の道を歩んだ。それでも着実に力を付けて、再び全国の舞台に舞い戻ると、2019年にはついに12年ぶりに全国の頂点に立った。しかも、男女アベック優勝という快挙だった。

　集団転校した生徒たちの新天地での活躍だけでなく、仙台育英高にはこんな再生ストーリーがあったことも記しておく。

現在は大東大を率いる真名子監督。集団転校後の仙台育英高の再建に尽力し、全国トップ級にまで引き戻した　©Yuki Suenaga

　磯松氏は逆境で力を発揮してきた印象がある。高校時代は、個人種目では麒麟児と呼ばれた渡辺康幸に屈しながらも、駅伝で全国優勝を果たした。法大では3年時に箱根予選会で敗退する憂き目にあったが、最終学年ではキャプテンとしてチームを箱根路に導き、エースとしてシード権獲得に貢献した。

　実業団のコニカミノルタ、トヨタ自動車九州で選手指導に当たってきた磯松氏が、高校駅伝界でどのように危機を乗り越えるのか。その手腕にも注目したい。