- #1
- #2
プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本一奪還へ“最大の補強”か…11年ぶり巨人復帰の橋上秀樹作戦戦略コーチが語る“ジャイアンツの野球改革”「打てないことを前提に戦う」の真意とは
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/03/04 17:00
阿部慎之助監督の要請で11年ぶりに巨人に復帰した橋上秀樹作戦戦略コーチ(59歳)が今季のジャイアンツの野球について語った
「表裏一体ですよね。だからそこはどう先読みをするかなんです。当然、読みすぎてしまって、裏をかかれることもある。そこは本当に心理戦、読み合いなんです。そういう対ピッチャーとか、打席内でのしのぎ合いがある。目に見える球を打つ、打たないだけではなく、その裏に関わってくる心理戦に1つの野球の面白さがあると思うし、そういう心理戦を制することで、結果もついてくると思います」
選手時代の阿部慎之助捕手の成果
――前回のコーチ時代に橋上コーチの提案で橋上野球を実践して、成果を上げたのが阿部監督だったということですね。
阿部選手の2011年と12年の打撃成績の変化(※はリーグトップ)
ADVERTISEMENT
11年 12年
打率 .292 .340※
打点 61 104※
本塁打 20 27
四球 35 69
三振 66 47
出塁率 .363 .429※
OPS .863 .994※
打率と本塁打数も上がって、四球数が増えたことで出塁率も大幅にアップ、OPSに至っては.131ポイントも上昇しています。
「確かに結果として当時の阿部選手の成績が上がり、タイトルも取りました。もしかしたら僕の話が、何かのきっかけになったのかもしれないですけども、元々それだけのポテンシャルを持っている選手だったということですよね。その中で僕がやったことは、本当に些細なきっかけを与えたに過ぎない」
――やはり橋上コーチが話すように、打席でのアプローチの仕方が変わったことが、この変化の背景にはあったと思います。
「それはあるでしょうし、当時の阿部選手にとっては、そこが新鮮だったかもしれないですね。彼にとってはそういう角度からの助言だとかアドバイスというのが、それまでのジャイアンツにはあまりなかった。新鮮だったのかもしれないですけど、どうでしょう……何が幸いしたかはわからないですけどもね」
――前回特に注目されたのが見逃し三振はOKで、狙い球を絞るという考えでした。阿部選手の数字にも出ていますが、そうすることで逆に四球数が増えました。
「まず当時の阿部選手がそういう視点を理解してくれていた。打席で勝負をかけて、結果として見逃し三振してきたことも何回かありました。今回も阿部監督がその点を理解してくれていると思いますし、キャンプでも監督とそういう話は常々していますので……」
キャンプインした橋上コーチが巨人打線の現状をどう分析し、今シーズン、どんな野球を展開しようとしているのか。後編ではその点を聞いた。
<続く>

