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DeNAの熱い言葉で「野球選手として再び火が灯された」阪神から現役ドラフト・浜地真澄が静かに燃やす闘志「単純に、投げる以上打たれたくない」
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石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/24 11:01
2016年にドラフト4位で阪神に入団。今シーズンでプロ9年目を迎える26歳だ
つまりフォークボールの必要性。そこで相談したのが毎年自主トレをともにするメジャーリーガーの千賀滉大だった。フォークのことを尋ねるのならば、千賀以上の人間はいないだろう。
千賀がくれたヒント
「現状の自分では天井が見えてしまっていたので、もっと良くなるためには変えなくてはいけない。自主トレで千賀さんやトレーナーさんにそういった話をすると理解してくれて、今季に向けていろいろとアプローチしていきました。千賀さんいわく『足し算ではなく引き算で考えた方がいい』と言われ、ハッとしたんです」
発想の転換に浜地は驚いた。
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「僕は新しいことをするとき、今あるものに足していくという作業をしていたんですけど、そうじゃなく『自分じゃなくなるぐらい大きく変えて、そこから引いていく作業をした方が、自分を変えるにはいいんじゃないか』と、千賀さんがお話ししてくれて、そこからすごい発見が多くなったんです」
浜地は目を輝かせながらつづける。
「もちろんリスクはあるのですが、変えたいという欲が強かったので、すんなりと取り組むことができました。どうしても、今あるものに付け足すと、結局は元に戻ってしまう。まったく別の状態から引く作業は、とても興味深いものでした」
威力を増すためのフォーム修正
とくにメカニカルな部分でいうと、利き腕の肘の出し方が変わったことが挙げられる。これまでの浜地は、投球時、肘が正面に出てしまう癖があった。
「これだと縦に綺麗にスピンが掛かるといった利点はあったのですが、出力として150キロちょいが限界でしたし、フォークも握りが弱くなって投げられない。だから肘を出さないフォームにすることで、球速アップとフォークが投げられるように」
これはあくまでも改善した箇所の一部であるが、自主トレではあらゆる方向性で研鑽を積み、なにをやっているのか言語化できることを意識し、土台を作り上げることができた。
佐々木千隼も復活させたデータの活用
そしてキャンプに入ると、DeNAが誇るデータチームとコミュニケーションを取りながらブラッシュアップを図った。浜地がDeNA入団に際しまず興味をもったのが、身体操作も含めたデータの活用である。昨年、ロッテからDeNAに入団した佐々木千隼がデータを活用することで自分の特性を再認識し、復活を遂げている。

