就活では「体育会はウケが良くなかったです（笑）」卒業後はコンサル業界へ…早大で箱根駅伝3度出走“一般入試の星”はなぜ実業団に進まなかった？ 

　夢の舞台を経験し、3年生になると当然視線も高くなり、さらなるレベルアップを図った。

「かろうじて区間1桁を獲るぐらいにとどまるのではなく、安定して区間5位以内を獲れるようになりたいと思いました。これまでスタミナには自信があったんですけど、スピードはあまり自信がなかったので、スピード強化に取り組もうと思いました」

　その成果が現れ、3年目はトラックで5000mも1万mも大幅に自己記録を更新し、ハーフマラソンでも自己ベストをマークした。

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　また、授業のある日は、所沢にある寮から教育学部のある早稲田キャンパスまで1時間以上かけて通わなければならないが、授業の合間にキャンパス近くの低酸素トレーニングジムを活用しトレッドミルを走ることもあったという。

「競走部に入った以上は、一般組も推薦組に負けないようにしたい。むしろ、推薦組を押し上げていけるような姿勢で取り組めばいいんじゃないかと思っていました」

　すっかり早稲田の主力に定着。その自覚も十分に備わっていた。菅野は3年時も4年時も箱根駅伝では10区を走り、ともに区間5位と好走を見せた。

3年時の箱根駅伝でも10区を走り「W」マークでゴール。区間5位の好走だった　©Yuki Suenaga

実業団を検討も…「両立」での成功体験

　主力として活躍を見せる一方、大学3年生にもなると、卒業後の進路を考えなければならず、夏頃からは就職活動も本格化してくる。

　陸上で結果が出始めた菅野の心の中には、「実業団でやってみたい」という思いがぼんやりと芽生えていた。だが、そんな思いはすぐに断ち切った。

「就活を始めて自己分析をしたり、たまたま知り合った元実業団の方に話を聞いたりして、いろいろ考えた結果、実業団にこだわらなくても競技継続はできるんじゃないかと思いました。

　社会人になって自分で生計を立てる時に、大志のスピードのように突出する強みがあればいいのですが、自分にはまだないので、陸上一本でやるよりも会社勤めをしながら陸上競技もするという方針のほうが自分には合っていると思いました」

　これまでの人生を振り返った時にも、何かと何かを両立させてうまくいった成功体験が菅野にはあった。例えば、中学受験の際にサッカーと学業を両立して合格を勝ち取り、大学受験の時には、高校3年の冬まで駅伝に注力しながら、早稲田大学に現役で合格した。

早大での4年間は着々と力をつけた菅野。4年時の合宿で先頭を引く場面も　©Satoshi Wada

　とはいえ、部活動と就職活動の両立も決して簡単ではなかった。

「競技の中で常にPDCAサイクルを回してきたので、そういう視点を生かしたいと思って業界は絞っていました。あとはより高い視座を求めて業界を絞った感じになります」

（※PDCAサイクル＝Plan（計画）、Do（実行）、Check（測定・評価）、Action（対策・改善）の4つのステップを繰り返し、成果を高めていくこと）

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