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就活では「体育会はウケが良くなかったです(笑)」卒業後はコンサル業界へ…早大で箱根駅伝3度出走“一般入試の星”はなぜ実業団に進まなかった? 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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posted2025/02/23 11:02

就活では「体育会はウケが良くなかったです(笑)」卒業後はコンサル業界へ…早大で箱根駅伝3度出走“一般入試の星”はなぜ実業団に進まなかった?<Number Web> photograph by Satoshi Wada

一般入試ながら3度の箱根路で好走した早大4年の菅野雄太。卒業後は大手コンサルタント会社に就職する一方、市民ランナーとして競技は続行するという

 その年の6月からは花田勝彦駅伝監督がチームの指揮を執るようになっていたが、菅野はまず10月の箱根駅伝予選会に出場し、チーム6番手の96位で走り本大会出場の力になった。

 そして、箱根駅伝本選でも16人のエントリーメンバーに選ばれた。

「エントリーメンバー発表の時点では走力的に12番手か13番手ぐらいかなと思っていました。予選会も走っていたので、16人に入ってとりあえずは良かった。ただ、安堵はしましたが、メンバーに入ること自体が目標ではなかったので……」

憧れの箱根路も2年目で出走が決定

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 本番を走れるかどうかは五分五分。メンバー入りを果たしたことに満足しているわけにはいかなかった。「たぶん10区を走るのが僕か辻(文哉、当時4年)さんか」当時の練習状況から菅野はそう踏んでいたが、先輩の辻が脚に不安を抱えたこともあって、アンカーの大役が菅野に回ってきた。

「両親もまさか2年目で走るとは思っていなかったので、びっくりしていました。10区は非常にプレッシャーがかかるので、僕の心境も『いや、まじか……』みたいな。にわかには信じがたかったですね。ただ、10区を任されたのは花田さんの信頼がある程度あってこそ……だと思ったので、それにはちゃんと応えないといけないなと考えていました」

 チーム目標は総合5位。初めての箱根駅伝ということもあって、区間1桁で走れれば上出来と菅野は考えていた。10区は単独走になるケースが多く、イーブンペースを得意とする菅野にとって、自分の強みを生かせる区間でもあった。

「失敗しないことを意識して走りました」

 菅野がタスキを受けたのは6位。目標の5位は16秒差と手の届くところにあった。さらに前を向けば3位も49秒差にいた。しかし、逆に後ろに目を転じれば、8位まで1分21秒しかなく、大混戦の渦中にあった。

 実際にこの年の10区は目まぐるしく順位が変動した。

 それでも菅野は周りに惑わされることなくマイペースを貫いた。2チームに抜かれはしたが、逆に2チームを抜いて、順位は変わらず6位で大手町にフィニッシュした。区間1桁にはあと一歩届かず区間10位だったが、タイムは花田監督の想定よりも20~30秒速かった。

「周りのレベルが高かったので区間10位でしたけど、ある程度健闘できた。記録的には満足していました」

 自身にとっては上々の箱根駅伝デビュー戦だった。

【次ページ】 実業団を検討も…「両立」での成功体験

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