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「複雑だけど消滅よりはマシかもね」“新生”RB大宮アルディージャ開幕戦で耳にしたサポーターの本音「昨季J3だった大宮に…クロップがいるなんて」
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井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images
posted2025/02/18 11:03
J2開幕戦、2-1でモンテディオ山形を撃破したRB大宮アルディージャ
J2復帰初戦、RB大宮としての新たな船出、そしてあのクロップを生で見られる滅多にない機会――。大宮サポーターだけでなく、多くのサッカー好きを惹きつけたモンテディオ山形との開幕戦は、同スタジアムでのJ2の試合の最多入場者数を更新する1万3418人を記録した。
キックオフ前にはクロップがクラブの原博実社長と共にピッチに現れ、白い歯を見せてスタンドに手を振った。その後は記者席の頭上にあるガラス張りのボックスシートで、レッドブルのサッカー部門のテクニカルディレクターを務めるマリオ・ゴメスらと試合を観戦。両者無得点で迎えたハーフタイムには多くのファンが、ドルトムントやリバプールで一時代を築いた名将に手を振り、なかには「DANKE JURGEN(ありがとう、ユルゲン)」と記したバナーを掲げる女性もいた。
劇的勝利にクロップも満面の笑み
試合は後半に動き、52分にCKから濱田水輝のヘディングで大宮が先制。だが昨季4位の山形は66分、ゴール前の混戦から土居聖真が詰めて同点とする。客観的に見て、昇格してきたばかりのホームチームよりも、近年の昇格プレーオフの常連であるアウェーチームの方が、組織力に一日の長があるように感じられた。
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しかし最後の最後に、ホームスタジアムは歓喜に揺れた。後半追加タイムのラストチャンス、CKから谷内田哲平がクロスを入れると、一度はGKに阻まれるも、こぼれ球を藤井一志が押し込み、これが決勝点に。RB大宮アルディージャの船出を祝うような劇的な勝利に、クロップも満面の笑みで周囲の人々と喜び合っていた。
「1万3400人ちょっとのサポーターの方が集まってくれて。昨シーズンからそうなんですけど、本当に(彼らに)勝たせてもらったゲームだと思います。ありがとうございます」
大宮の長澤徹監督は試合後の会見で、そう切り出した。途中で1歳年上のクロップとのやりとりがあったら教えて欲しいと質問されると、「めっちゃ喋りたいんですけど、(広報から)試合のこと以外は話さないようにと言われているので、また後日にでも」と正直に応じて、報道陣の笑いを誘っていた。

