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「青学大、大丈夫?」若林宏樹(4年)が衝撃記録でも…ファンから不安の声、箱根駅伝2026年大胆予想「青学大は最強世代6人が一気に卒業」「駒澤大が本命」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2025/02/06 17:04
2月2日の別府大分毎日マラソン、2時間06分07秒で2位に入った青学大・若林宏樹(4年)と6位の白石光星(4年)
往路であわや優勝か、という素晴らしいレースを見せたが、中大で卒業するのは5区と6区の特殊区間担当の2人だけ。1区区間賞の吉居駿恭(3年)、3区区間賞の本間颯(2年)も残り、来年も往路では首位争いを演じることになるだろう。
問題は山だ。不安がない早稲田に対して、中大は特殊区間要員を育成しなければならない。藤原正和監督は、
「5区は適性のある選手がいるので、なんとか育成できると思います。難しいのは6区ですね。青学大の野村君が56分台の扉を開いてしまい、戦い方が変わらざるを得ません。56分台は大記録ですが、58分台は当たり前、優勝を狙うためには57分台を出せる選手を育成する必要が出てきます」
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と話す。中大は「6区」がポイントだ。
さて、気になるのは青学大である。
鶴川、太田、若林、野村、白石、そして熱いキャプテン田中が卒業する穴はたしかに大きい。ふつう、6人の穴は埋められない。しかし、青学大なら埋められるかもしれない、という予感もする。
戦力のメドが立つのは、この2年間2区を担当し、絶対的な信頼を置ける黒田朝日(3年)が残るからだ。1区がどんな展開になろうと、黒田のところで確実に上位に進出してくるからだ(忘れていけないのは、黒田が1年生の時は5区の候補だったことだ。ひょっとして……)。
また、下級生の台頭も期待できる。特に現在の1年生は10区で区間賞を獲得した小河原陽琉が頭角を現したが、最後まで10区を争った安島莉玖、佐藤愛斗、そして故障で16人の登録メンバー入りはかなわなかったものの、高校時代は世代トップの評価を得ていた折田壮太もいる。
黒田が2年生で鮮烈2区デビューを飾ったように、このなかの誰かが黒田並みの力走を見せる可能性もある。
とにかく、青学大は毎年「上振れ」要素が強い。現時点では来年度の戦力を想像しづらいが、総体としての伸びしろは間違いなくトップだろう。
新1年生という「Xファクター」
こうして来年度のチーム編成を概観してきたが、残るは英語でいうところの「Xファクター」、プラスアルファを生み出せる選手がいるかどうかが勝敗に影響する。
特に、新入生だ。
箱根駅伝は経験がモノをいう大会でもあり、今回、区間賞を獲得したのは4年生が3人、3年生が4人、2年生が2人、1年生が青学大の10区を走った小河原、ただ1人だった。
高校3年で世代トップだったとしても、箱根駅伝で1年生から活躍できる選手は稀だ。近年では青学大の太田が1年生から主要区間で結果を出してきたが、1年目から活躍するのは難しい。
ただし、新年度はXファクターになれそうな高校3年生が数人いる。


