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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「マリーゴールドへ来て本当によかった」プロレス引退も考えた挫折を越えて…“王者になった貴婦人”桜井麻衣の野望「いつかジュリアと再戦を」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/02/02 17:02
マリーゴールドの“白いベルトの王者”桜井麻衣。「大きいこと言っていいですか」とさらなる野望を口にした
「ジュリアがいなくなったら辞めちゃうんじゃないか」
桜井には“貴婦人ポーズ”というのがある。2023年4月のシンデレラトーナメント決勝戦のときに突然始めたものだが、どのあたりが貴婦人なのかはよくわからない。顔の周りに両手を回すポーズで、形としては「おそ松くん」に登場するイヤミの「シェー」に近い。
「あの日、シンデレラトーナメントの準決勝を勝ち抜いて、次は決勝戦だ! と廊下を歩いていたら、ひめかが自身の試合前に駆けつけてきてくれて、緊張している私を和ませる会話をしてくれました。そこで最後に貴婦人ポーズ。『コレやればいいじゃん!』と今のポーズを提案してくれました。DDM(ドンナ・デル・モンド)は私の決勝戦の後に試合があったのでセコンドにはいなかったけれど、全員が裏で頑張れと言って送り出してくれました。
お客さんには見えないところでの優しさって、より、嬉しいですよね。あの頃、私は一番後輩だったのでDDMメンバーからいつも支えてもらって、助けてもらっていました。マリーゴールドに来て一気に後輩が増えて、自分が先輩の立場になって。自分のことでも精一杯なのに……。最初は戸惑いと負担と責任と、いろんな重圧が一気に乗っかってきて毎日泣いていました」
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「私、マリーゴールドに来て……」桜井の目から涙があふれてきた。8月、桜井はジュリアの壮行試合でシングルマッチの機会を与えられた。
「ジュリアの壮行試合で解説の(高橋)奈七永さんがコメントしてくれていた。『ジュリアが桜井のことずっと心配していて、ジュリアがいなくなったら桜井は辞めちゃうんじゃないか』って。変わるためにここへ来たのに、さらにドン底を味わって、私の居場所はここにはないんじゃないか、って旗揚げからずっと悩んでいた。『もう続けたくない。マリーゴールドに来て辛いことしかないから』とジュリアに言ったこともあります。
それに対してジュリアは、『私がアメリカに行ってその後、桜井が辞めたら、本当に“ジュリアについてきただけの人”になっちゃうよ。そうじゃないでしょう?』と。奈七永さんは私が悩んでいたのを心配してくれて、ジュリアがアメリカへ行ってから、私のことを支えてくれた時期もあって。『桜井は辞めさせない。支える』と言って下さった言葉がとても嬉しかったです。本当に偉大な先輩だなと思っていますし、感謝しています」


