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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「プロレスを続けるか悩んでいた」マリーゴールド“白いベルトの王者”の苦悩「もうドン底を味わいたくない」桜井麻衣はなぜ“覚醒”したのか?
posted2025/02/02 17:01

マリーゴールドの“白いベルト”ユナイテッド・ナショナル王座を手にした桜井麻衣(34歳)。苦悩の末につかんだタイトルだった
text by

原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
久しぶりにマリーゴールドの「貴婦人」桜井麻衣に話を聞いてみたいと思った。「すごく変わったなあ」と感じたからだ。桜井は1月3日に大田区総合体育館で青野未来に勝って、マリーゴールドの白いベルト、ユナイテッド・ナショナル(UN)王者になっていた。すでに野崎渚にも勝って初防衛にも成功している。
「プロレスを続けるか悩んでいた」桜井麻衣の告白
桜井はその白いベルトを持って昼下がりの銀座の街角に姿を見せた。銀座にはよく食事や買い物に来るという。
「変わりました? たぶん、スターダムにいた時って守られていたのかもしれません。以前はほぼ団体内でしか試合しなかったじゃないですか。何度も試合をしたことがある相手が多いので、お互いに相手のテンポ、間、タイミングなどを把握していた。だから試合で大きく噛み合わないことは少なかったと思います。だけどマリーゴールドに来て、旗揚げ前にノアのリングに上がったんです。初めて戦う選手が多かったのと、すごいメラメラとした相手の闘志を感じて、正直怖かったです。なんか、今までは安全な部屋の中で過ごしていたのに突然、野生のライオンがいるサバンナに放り出されたような感覚。でも、これが本当のプロレスなんだなとも感じました」
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桜井はベルトを取れたことは「すごくうれしい」と言ったが、そればかりではなかったことをしみじみと語り始めた。
「5月の旗揚げ戦は後悔しか残らない試合でした。何のために私はマリーゴールドに来たのか? プロレスやっていると、うまくいく時と、うまくいかない時ってあるじゃないですか。1年くらい前DDM(ドンナ・デル・モンド)が解散してからマリーゴールド旗揚げまで、ずっとうまくいかないなと感じていた。あの時を思い返すと、体も心もボロボロでした。2024年になってすぐ、6人タッグのベルトを落として、そこから首、胸骨、肋骨を立て続けにケガして、スケジュールもハードだったので、疲れ切ってしまって……。自分の試合を見ると動きも悪くてさらに落ち込んで。みんながマリーゴールドに行くか行かないかを考えていた時期に、自分はプロレスを続けるかどうかで悩んじゃったんです。もう上がり目なんてないかもしれない。こんなに頑張っても、と自分に限界を感じて落ち込んじゃって。その時、学生時代からの友達に相談しました」
その友人はプロフェッショナルかつ冷静な目で、桜井の悩みに答えてくれたという。