「プロレスを続けるか悩んでいた」マリーゴールド“白いベルトの王者”の苦悩「もうドン底を味わいたくない」桜井麻衣はなぜ“覚醒”したのか？ 

「少しずつ、お客さんの私に対する期待が良い方に…」

　桜井は変わっていった。その本当のきっかけはいつだったのだろうか。

「よく、8月のジュリア戦から変わったと言われることが多いんですが、自分の中では、その前の6月にSareeeと名古屋で初めてシングルした日がきっかけだと感じます。あの日、会場のお客さんがたくさん応援してくれました。あれから少しずつ、お客さんの私に対する期待が良い方に変わってきた感じがしました。またもう一度Sareeeと戦いたい。私は闘志を大切にしています。そして、感情むき出しの試合が好きです。動きが良い、技がきれい。それも大事だと思います。でも、それだけじゃない。少し形が崩れても、感情が入っていたら見ていて飽きない。それがある人との試合は、自分の中で特別になるので」

青野未来の持つUN王座に挑戦した桜井麻衣。1月3日、大田区総合体育館　©Essei Hara

　1月3日に戦った青野未来は桜井がアクトレスガールズでデビューした時の相手だ。まさか、マリーゴールドのリングでタイトルマッチを争う関係になるとは思ってもみなかっただろう。

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「全く想像していませんでした。だけど私にとってとても大切な人。私はデビュー戦が凄く良い思い出として残っています。未来さんにデビュー戦の相手をしていただいて、本当に感謝していました。1.3の大田区で対角に立った未来さんを見て、5年前のデビュー戦の日を、つい昨日のことのように思い出しました。大田区という大きな場所でタイトルを懸けて再び対戦できて、とても嬉しかったです。でも、だからこそ、絶対に負けたくない。それにいつも、いつも、準優勝とか最後の最後で悔しい思いをしてきたので、今度こそ勝ち取りたい。悔しい思いをしたくない。そして何より、マリーゴールドにきたことを正解にしたい。外部から悔しい言葉もたくさん言われました。だけど自分が選んだ選択は正しかったんだと、絶対に証明したかった」

青野未来にがっちりとSTFを決めた桜井麻衣　©Essei Hara

「未来さんは包容力があって、器が大きい。感情は出さないけれど、内に秘めているイメージ。私は師匠に似て激情型ですけれど（笑）、未来さんは真逆なタイプだと思います。だからこそ、私がチャンピオンになったからには青野未来とはまた違った防衛ロードを歩んでいきたいし、ベルトも私らしく染めていきたいです。そして今年は、私が成人式をした会場でマリーゴールド“お凱旋”をしようと思ってるんです。本当の地元（本八幡）でやろうかと。今年は貴婦人旋風を巻き起こす年にしてやります」

＜続く＞