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「情けないな…自分自身が許せない」“女子プロレス大賞”Sareeeがまさかの3連敗…それでも「過去イチ燃えています」“猪木ベルト”IWGP女子を狙う理由
posted2025/02/01 17:05

岩谷麻優の持つ“猪木ベルト”IWGP女子王座に照準を合わせたSareee。「朱里を踏み台にする」と宣言した
text by

原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
今年に入って、Sareeeはまさかの3連敗という悔しさを味わっている。昨年は女子プロレス大賞に輝き、マリーゴールドのワールド王座とSEAdLINNNGのシングル王座を持っていたのに、1月3日に林下詩美に敗れ、1月17日にはVENYに負けて、無冠になってしまった。
里村明衣子がSareeeに示した“厳しさ”
そして1月23日に新宿FACEで行われた自主興行「Sareee-ISM Chapter Ⅵ」では里村明衣子と戦った。里村は4月29日の引退を発表している。里村は引退が迫っているにも関わらず、驚きの強さを見せた。16分35秒の凝縮された好試合だったが、Sareeeは里村のかかと落とし、スコーピオライジングを浴びてフォールを奪われてしまった。
「あんだけ里村明衣子を超えると言っていたのに、こんな情けない姿をみなさんに見せてしまって申し訳ないと思っています。2025年になって2本のベルトを失ってここで負けたら、本当に終わりだな」
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そう思って挑んだ一戦だった。試合前の場内ビジョンには14年前、15歳の時に里村と戦ったSareeeのデビュー戦が映し出されていた。里村の強烈な蹴りに、Sareeeは立ち上がれなくなってしまった。「目を見ろ」と里村の叱咤が飛んだという。
「よくあんなに細い女の子がここまで来たなと思います。気持ちが強い子なんでもっと行きますね。当時は選手が少なかったので、上の選手と戦ってのし上がった。女子プロレス大賞、聞いて、うれしかったです。でも、最後まで負けたくなかったです。現役最後が近くなると、今まで積み上げてきた意地が全部出てくるんですよ」
試合を終えた里村は愛情を込めて感慨深くそう語ったが、「日本の女子プロレスはSareeeがいれば大丈夫」というSareeeの言葉に対しては毅然とした厳しさを示した。
「ひとりじゃダメだろうな。1回や2回勝ってもトップは名乗らせないですよ。橋本千紘も、岩田美香もいる。センダイガールズの選手もいるんだってことはウチの選手もアピールすべきですね。これから楽しみです」
Sareeeは里村が去ったリング上でマイクを手にしていた。
「めちゃくちゃ悔しいのに、めちゃくちゃ情けないのに、なぜか今、過去イチ燃えています。残念ながら里村明衣子と私のシングルマッチは今日が最後です。私は最後と思ってこのリングに立ったから、もう戦うことはないです。里村さんには感謝しかなくて。あなたがいたから私はここまで来られたと思います。これからも私は里村明衣子を追い続けます。あなたが引退しようが、私は里村明衣子を必ず超える。みなさん、絶対見ててください。見届けてください。私は止まっていられないんです。なんで負けたのにこんな気持ちになるのかわからないけれど、もっともっとこの世界で頑張っていきたい。里村さん、見ててください。そんな気持ちです。今年巻きたいベルトあるんです。アレがあるんです」
アレがIWGP女子王座であることは明白だった。