- #1
- #2
プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「プロレスを続けるか悩んでいた」マリーゴールド“白いベルトの王者”の苦悩「もうドン底を味わいたくない」桜井麻衣はなぜ“覚醒”したのか?
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/02/02 17:01
マリーゴールドの“白いベルト”ユナイテッド・ナショナル王座を手にした桜井麻衣(34歳)。苦悩の末につかんだタイトルだった
「白いベルトに挑戦したい。あの時、心に決めました」
マリーゴールドに来て桜井はMIRAIとのタッグでツインスターのタイトルを獲得したが、タッグとシングルのどちらに向いていると感じているのだろうか。
「そうですねぇ……。向いているかどうかは分からないですが、今自分が強化していきたいのはシングルですかね? 今までは、どこか人に気を遣ったり、任せていた部分があったんです。でも、いろんなことを経験して、ここへ来て立場もかなり変わって、私はこだわりが強いなあ、と自分で思いました。タッグにはタッグの良さがあると思います。だけど、私はもっと個の強さを求めたい。2年前の取材の時もお話ししたと思うんですけど、根本にあるのは“強くなりたい”。その思いです。『この人、何しでかすか分からないから面白い』という狂気的な部分をもっと出していきたいし、自分の個性をより主張出来るような存在になりたい。そして、お互いの個の強さが進化したときにタッグをまた狙いたいです」
UN王座への挑戦について、桜井は思うものがあった。
ADVERTISEMENT
「1.3でUNに挑戦できる流れになったのは、お客さんの声が大きかったと思います。もちろん、ジュリアさんとのラストの試合(昨年8月)のおかげでもあるし、夏のドリームスターで準優勝したことも大きいと感じます。私のいたスターリーグはパワー系やストロング系の選手が多かったので、毎試合が試練でしたし、その中でも初戦の高橋奈七永戦と、ボジラ戦はとても心に残っています。良い経験ができた。そして結果も出せた。
決勝で林下詩美と戦った時はいろんな感情が湧きました。私がスターダムに入って2試合目に組まれた10番勝負、その初戦の相手が当時スターダムの最高峰のベルト、ワールドチャンピオンの林下詩美でした。あの時はチャレンジマッチ。その3年後にリーグ戦の決勝で戦うなんて誰が予想したでしょうか。しかも当時と同じ会場で。自分が一番驚いていました。それにお客さんの声援が嬉しかった。あの林下詩美との対戦なのに、『桜井かよ?』みたいな空気感ではなく、『桜井頑張れ!』という声援が何より心強かったです。
決勝戦は全力を出し切って負けたので悔しい気持ちもあるけど、スッキリしました。そして最後に林下詩美が『これからは私たちでマリーゴールドを盛り上げていく』と言ってくれたのを見て、私は優勝できなかったけど、林下詩美が優勝して、赤いベルトに挑戦するなら、私は白いベルトに挑戦したい。あの時、心に決めました。青野未来とはリーグ戦でドローだったので、決着をつけたいという気持ちもありました」


