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ドイツ人番記者の視点「サノは性スキャンダルをピッチで償った」同僚に愛されるMF佐野海舟…じつは「岡崎慎司の存在」がマインツ順応の背景に 

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ミヒャエル・イーベルト(『キッカー』誌マインツ担当)

ミヒャエル・イーベルト(『キッカー』誌マインツ担当)Michael Ebert

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posted2025/02/01 17:00

ドイツ人番記者の視点「サノは性スキャンダルをピッチで償った」同僚に愛されるMF佐野海舟…じつは「岡崎慎司の存在」がマインツ順応の背景に<Number Web> photograph by NurPhoto/Getty Images

マインツでレギュラーを即獲得した佐野海舟。活躍ぶりの背景をドイツ人番記者に記してもらった

「ピッチ上には(日本との)大きな違いがあります。トレーニングでさえ、インテンシティーやスピードがとてつもなく高い。初めの頃は、どうやったらうまく入っていけるだろうかと、考えていました」

 ブンデスリーガが開幕する前には、ヴィーエン・ヴィースバーデンとのDFBカップ1回戦に先発。新天地でのデビュー戦は延長戦に持ち込まれ、佐野は最後までプレーし、3-1の勝利に貢献している。DFBカップでは2回戦でバイエルン・ミュンヘンに0-4の大敗を喫してしまったが、佐野はその一戦(こちらもフル出場)を含め、ここまでの公式戦の全試合に出場している。ブンデスリーガの19試合で途中交代したのは2試合だけで、通算で18分間だけピッチに立っていない計算だ。

カイシュウはバックパスをあまりしなくなった

 第19節終了時点で、疲れ知らずのランナーは218.5キロの走行距離を記録し、これを上回るのはバイエルンのヨシュア・キミッヒ(233.4キロ)、ザンクト・パウリのジャクソン・アーバイン(232.6キロ)、レバークーゼンのグラニト・ジャカ(223キロ)のみ。セントラルMFとしてはトップスピードも速く、時速34.42キロはリーグで50位、マインツでは3番目の記録だ。昨季を13位で終えたチームが今季は6位につけているのは、この新戦力の活躍によるところが大きい。

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 岡山県出身の守備的MFは監督の信頼を得て、ドイツのピッチに立ち続けるなかで、自らプレーを修正し、成長していった。「複雑なプレーはしなくなりました」と本人が語っているように、ヘンリクセン監督の要求を体現するようになっていった。

「カイシュウとナディームには、常に連係を心がけるようにと伝えている」とデンマーク人監督は話した。12月上旬に指揮官と中盤のふたりは、30分に及ぶミーティングをしたという。

「互いにもっとコミュニケーションを取るように、とも言ったよ。そしてカイシュウは今、バックパスをあまりしなくなり、前への意識が高まっている」

副将も「あそこまで走り続けられる…脱帽だよ」

 ただし、背番号6をまとう新戦力のフットボールのクオリティーについて、指揮官は一度も疑ったことがないという。

「チームの誰もが、練習で相手になると、彼が一番厄介だと口を揃えている。ものすごく俊敏で、技術にも優れ、ボールを芯で捉える能力も高いからね」

 チームメイトも賛辞を惜しまない。

【次ページ】 岡崎が立ち上げたクラブ会長が橋渡し役に

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