- #1
- #2
猛牛のささやきBACK NUMBER
「あれ予言だったんかー!」オリックス・小田裕也がいま明かす「まんまとやられた」引退セレモニーの舞台裏「“僕の大好きな西野”は咄嗟に…」
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/10 11:04
今季から育成コーチに就任したオリックス・小田裕也
西野真弘との絆
ただ、その伏線に気づかなかったからこそ、小田は自身のラストゲームを楽しめたという。
「安達さん、Tさんは試合後に引退セレモニーがあったから、試合前からすごく緊張していて、『ソワソワするわー』と言っていて。でも僕は普通に試合を迎えられて、純粋に引退試合を楽しめました」
小田は6回裏に代走として登場し、最後まで出場した。そのラストゲームで小田の記憶にもっとも深く刻まれたのが交代の場面。三塁打を放った西野真弘に代わり、代走で出場したシーンだ。
ADVERTISEMENT
ベンチを飛び出し三塁へ駆けていった小田は、戻ってくる西野と、万感の思いで抱き合った。西野は涙を隠すかのようにうつむきながらベンチに戻り、小田の目も潤んでいた。
ライバルで親友
「あの時は本当にいろんな思いが込み上げてきました。たぶんお互いにグッときてたんで、言葉はなく、目も合わせずにハグだけ。お互いに目を見られなかったです」
2人は2015年入団の同期で、小田は身長172cm、西野は167cmと小兵ながらパンチ力を備えるなど重なる部分が多かった。
「ポジションは違うけど、タイプ的に似ているし、同期で、ドラフト下位入団で、社会人卒で。歳も近いし(1歳違い)、同じような背丈で、周りが大きい中で戦っていかなきゃいけないという立場だったので、本当に共通する部分が多くて。僕が勝手に特別な思いを抱いて、それに乗っかってくれたのかなと思います。
西野が先に活躍したので、あいつを目標にというのは常にあって、ずっと意識して、西野の成績はいつも見ていました。すごくライバル視していた。頑張っている姿もずっと見ていたし、あいつはレギュラーだった時期もあるから、すごくいい刺激ではありました。プライベートでは仲良かったですけどね。性格が合うのか、空気感が合うのか。だから昨年の活躍も嬉しかったです」
6回二死までノーノー
小田が引退を決め、西野に「引退するわ」とLINEで知らせると、電話がかかってきた。「マジすか? えー……」と沈んだ声が聞こえてきた。


