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「あんたら、ここで終わるつもりなの?」J2復帰カターレ富山のこれから…“69歳の熱血社長”左伴繁雄は言った「この人たちを残して離れるわけにはいかない」 

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宇都宮徹壱

宇都宮徹壱Tetsuichi Utsunomiya

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photograph byTetsuichi Utsunomiya

posted2025/01/27 17:02

「あんたら、ここで終わるつもりなの?」J2復帰カターレ富山のこれから…“69歳の熱血社長”左伴繁雄は言った「この人たちを残して離れるわけにはいかない」<Number Web> photograph by Tetsuichi Utsunomiya

カターレ富山が11年ぶりのJ2昇格を決めた2024年12月7日、富山県総合運動公園陸上競技場でメガホンを握る左伴繁雄社長

「上のカテゴリーに行けば、勝てる試合も少なくなるし、お客さんも減るかもしれない。J1までのロードマップを思い描いたら、乗り越えなければならないハードルがたくさんあるわけですよ。お祝いの電話をくれたソリさんに、そんな話をしたら『監督と一緒ですね』って言ってくれました」

 もうひとつ、左伴が破顔一笑となれない理由がある。それはJ2に対する考え方が、決定的なまでに周囲と相容れなかったことだ。

「この10年間、富山ではずっと『J2復帰』を金科玉条のように言われ続けてきたけど、僕にとってのJ2は『落ちたらいけない場所』だったんですよね。ですから、周りが『J2だ、J2だ』って盛り上がっていると、僕なりに反発があるわけです。『あんたら、ここで終わるつもりなの?』って。そりゃあ、今はJ2で20番目のクラブですよ。だけど、来年の目標については、絶対に『J2残留』なんて言うつもりはありませんから」

年始に宣言「J2に長く居続けてはいけない」

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 年が改まり、シーズンインとなった1月6日。左伴は選手とスタッフ、そして社員を集めて「J2はJ1に上がる準備をする場所。長く居続けてはいけない」と明言している。そのために「今までやってきたことを、もっともっと愚直に続けていかなければならない」とも。具体的に意識していることは、2つあるという。

「まず、観ている人に勝ち負けを忘れさせるようなサッカーをすること。たとえ負けても文句を言わせないような、ハードワークの集大成のような試合を見せ続けることですよね。そして試合がない日は、なるべく地元の人たちと触れ合う機会を作ること。去年はフロント社員が中心だったけれど、今季は選手にも参加してもらって、より地域の皆さんに身近に感じられる存在になってほしいと思います」

 前述した通り、2025年の富山の年商は11億円、強化費は4億8000万円が見込まれている。しかしJ2全体で見ると、ぎりぎり「中の下」というポジション。それでも左伴は、まったく臆することはない。最後に、新体制発表会後のXでの宣言を紹介しておこう。

《サイズのデカいクラブや強いクラブは多い。/だがサイズがデカく強いから勝つ訳じゃなく勝ったクラブが強い。/それを今年も証明する。》

<第1回、2回から続く>

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「ずっとどんぶり勘定で…ガクっときた」J3に低迷“ぬるま湯クラブ”を69歳社長はどう変えたのか?「これじゃあ、絶対に上がれない」カターレ富山の挑戦

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