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青学大を激変させた“ある男”の一言「箱根駅伝で戦うチームが、このレベルなの?」部員は疑問「ちょっと心配です」こうして青学大は常勝軍団になった

posted2025/01/24 11:01

 
青学大を激変させた“ある男”の一言「箱根駅伝で戦うチームが、このレベルなの?」部員は疑問「ちょっと心配です」こうして青学大は常勝軍団になった<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

青山学院大が箱根駅伝初優勝を果たした2015年。当時の練習風景

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Takashi Shimizu

今や箱根駅伝の常勝軍団となった青山学院大。その伝説がはじまった“初優勝”は10年前、2015年のことだった。選手を諦め、主務としてチームを支えた高木聖也が見た青学大の実情。第1回は「ある男がチームに苦言」編。初出:『箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ』(文春文庫、2015年12月刊)。肩書はすべて当時のもの(全3回の第1回)

 4年になり、高木は主務になった。マネージャーと主務では仕事の中身が違う。主務は計画に沿って練習の準備を行うだけでなく、実行させなければならない。マスコミとの交渉窓口ともなり、広報的な役割をも担う。おそらく、一般企業の若手社員より仕事の量も多く、高い質も求められるのではないか。責任感が芽生えるにつれ、少しずつ仕事が面白くなっていった。

ある男の苦言「このレベルなの?」

 高木にとってありがたいことに、原はすベてを管理するタイプではなく学生の自主性を重んじ、任せる部分は任せてくれた。高木が提案したのは、練習前のストレッチなどの補強、準備運動を変えることだった。

 青学大はスポーツメーカー、アディダスの支援を受けているが、そのつながりで、原がトレーナーの中野ジェームズ修一を紹介してもらった。中野はランニングのための効果的なトレーニングを紹介し、『運動前のストレッチはやめなさい』などの著書もある。

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 その中野に、青学大がいつもやっている準備運動を見てもらうと、予想もしていなかった答えが返ってきた。

「箱根駅伝で戦うチームが、このレベルなの? 走る前の体操はパフォーマンスに大きく影響するよ。みんな、体のことをあまり考えず、ずっとやらされてきただけじゃないかな?」

 忌憚のない意見だった。高木からすれば、中野の言葉はこれまでやってきたことを全否定されるような話だったが、かえって好奇心が湧いてきた。なにが間違っていたのか?

【次ページ】 「本当に効いてる?」チームで異論も…

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