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「誰がエラそうにぬかしとんじゃ!」楽天初代監督が明かす“ブチギレ事件”「オリックスが1時間半も遅れて…」楽天初期のゴタゴタ「オレを地獄に落とすつもりか?」
posted2025/01/19 11:00
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph by
JIJI PRESS
2005年に楽天がプロ野球に参入してから20年。2013年に初の日本一を達成するなど今や東北のファンに愛される球団となったが、チームの礎を築いたひとりが初代監督の田尾安志氏(70歳)である。田尾氏に監督時代について改めて聞くとともに、楽天への思いを語ってもらった。【NumberWebインタビュー全3回の前編/中編、後編も公開中】
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「人生で一番おもしろい1年でした」
「昨日も釣りに行きましてね、よく釣れたからここのカフェのマスターに差し入れしたところですよ」
兵庫県西宮市のカフェで筆者を出迎えてくれた田尾氏は、現役時代からずっと変わらないハンサムな笑顔が光る。楽天監督時代について話を向けると笑顔のままこう話した。
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「1年でクビにされましたけど、僕にとっては人生の中で一番おもしろい1年でした。最高の1年でしたよ」
田尾氏は3年契約だった監督を1年で解雇されている。契約を反故にされたのだから、さぞ怒り心頭なのだろうという筆者の想像は裏切られた。もっとも、話が深まるにつれ、徐々に冒頭の笑顔はこわばっていくのだが……。
「オレを地獄に落とすつもりか?」
まずは、田尾氏の監督就任の経緯から振り返っていこう。2004年9月頃、楽天の初代GMを務めることになるマーティ・キーナート氏から電話を受けたときから、田尾氏と楽天の運命は動き出す。
「マーティとは会えば挨拶を交わすくらいで、特に親交があったわけではありませんでした。『新球団の監督候補について相談に乗ってほしい』と突然電話が来て、食事の場に行ったら、後に球団代表となる米田純もいました。マーティたちが目星をつけていた監督候補者について、僕なりに『彼はここがいい、この部分は監督としては適さないのでは?』などとコメントしました」
一通り、コメントし終えた田尾氏だったが、直後のマーティ氏の言葉に耳を疑った。マーティ氏は「田尾さんが監督やってみない?」と発したのだ。