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「楽天球団のマイナスコメントをしたら、お金は払いません」楽天初代監督が語る“1年でクビ”のウラ側、驚きの覚書「消えた“楽天・清原和博”プランがあった」

posted2025/01/19 11:01

 
「楽天球団のマイナスコメントをしたら、お金は払いません」楽天初代監督が語る“1年でクビ”のウラ側、驚きの覚書「消えた“楽天・清原和博”プランがあった」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

2005年最終戦。「田尾コール」が鳴り響くなか、花束を手にあいさつする楽天・田尾安志監督

text by

沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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photograph by

Sankei Shimbun

 2005年に楽天がプロ野球に参入してから20年。2013年に初の日本一を達成するなど今や東北のファンに愛される球団となったが、チームの礎を築いたひとりは初代監督の田尾安志氏(70歳)である。田尾氏に監督時代について改めて聞くとともに、楽天への思いを語ってもらった。【NumberWebインタビュー全3回の中編/前編後編も公開中】

◆◆◆

たった1カ月でコーチが降格…

 田尾氏がオーナーとのズレを感じたのは、シーズン開幕すぐの4月末。当時、楽天は11連敗を喫しており、これを受けて球団は一軍ヘッドコーチの山下大輔氏や一軍打撃コーチの駒田徳広氏らを二軍コーチ陣と配置転換したのだ。シーズン開幕からわずか1カ月での大幅な配置転換は異例である。

「負けているのは彼らの責任じゃないし、選手もコーチに不満を持っているわけではありませんでした。単純に弱いから負けているので、コーチが悪いわけじゃないですよとオーナーにも伝えたんですがね……。球団としては対外的に、なにか手を打っていることを見せたかったんでしょう。ちなみに、マーティ・キーナートもこの時期にGMを外されていました。マーティはチーム結成時『田尾が51%、僕が49%でチームを作ろう!』とわけのわからんことを言って誘ってくれたんですが、完全に梯子を外された感覚でした」(田尾氏、以下同)

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 マーティ氏がGMを解任された経緯は、筆者の既出記事に詳しいが、こうしたスタッフに対する当時の球団のふるまいを田尾氏はこう評する。

「野球人に対するリスペクトがなく、接し方が軽いという印象です。『こっちはカネを出しているんだ』という意識が端々に出てるんですよね。野球人としては球団に世話になっているというより、野球界全体にお世話になっているという感覚です。一流になるほどその気持ちは強く、どこでも仕事ができるという意識でいます。なので、会社や経営者に忠誠を尽くしているような社員と同じ感覚で、野球人に接してもうまくいかないと思いますね」

「明日負けたら休養してください」

 球団のリスペクトを欠いたふるまいは田尾氏にも及んだ。8月に再び11連敗を喫すると、球団は田尾氏に対して「明日負けたら休養せよ」と指示を出したのだ。これもオーナーの意向なのは明らかだった。

「僕は『勝ったらどうするんですか?』と球団スタッフに聞いたんですが、そしたら『今まで通り監督をしてください』と。そんな薄っぺらいことしか考えてないのか?と思いましてね。ひとつの勝ち負けで監督の去就が変わったら、いいチームはできません。僕は納得がいかなかったから、『今からオーナーに電話するから、一緒に聞いて』と米田球団代表を監督室に呼びました。ただ、案の定オーナーは僕の電話に出ませんでしたけどね」

 それでも田尾氏は、今の思いや楽天の展望をオーナーの留守電に、次のように吹き込んだ。

【次ページ】 「これ以上言ったら、クビになる」

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