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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「米メディアにもイチロー派、マツイ派がいた…」イチローと松井秀喜の“関係”「ナゾの不仲説はなぜ?」取材記者が“2人の再会”に胸を震わせた理由
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byNaoya Sanuki
posted2025/01/23 11:01
昨年9月、イチロー率いる「KOBE CHIBEN」で同僚となった2人
だが今、冷静に振り返るとそれも単にタイミングによるものだったように思える。ホームチームとビジターチームの練習は入れ替わりで行われるため、両チームの選手が顔を合わせないこともざらにある。イチローも松井も互いにトップスターということで、対面するにしても周囲のスタッフが事前に機会をセッティングするような形になることが多かった。2人の行動には、本人たち以外の人の意思が働いていたというケースもあっただろう。
2人がチームメイトになった日
そうした不仲説が燻る中で、2013年7月28日のヤンキースタジアムでの出来事は大いに注目が集まった。その前年に現役引退を決めた松井が、この日にヤンキースと1日契約を結びチームの一員として引退する式典が行われた。ヤンキースに移籍して2年目のイチローはもちろんその場におり、その日のレイズ戦にスタメンで出場していた。試合前のセレモニーで松井が出てきたとき、イチローもちょうど試合の準備のためダグアウトに出てきたところで、一瞬だけ2人の居場所が交差し合った。このときイチローは「会いましたよ。ダッグアウト出て行くとき、途中でね。ああ久しぶりと。去年のタンパ(松井がレイズで現役最後の試合に出場した2012年7月22日のトロピカーナフィールドでのマリナーズ戦)以来かな。これだけの人が集まったのはすごいことだと思います。彼のことを見にくるのはすごいことです。いろいろおめでとう」と語り、松井は「今日はチームメイトですねと言っただけです。正確に言うと僕はマイナー選手ですけど」と笑った。
イチローが語った“松井の風呂事件”
2人がメジャーで現役を続ける間、イチローが松井について語ることも、松井がイチローを語ることもそれほど多くはなかったが、筆者は一度、イチローが松井との高校時代の思い出を語るところに居合わせたことがある。愛工大名電で1学年上のイチローと星稜の松井が練習試合の後に風呂場で遭遇し、イチローが3年の自分たちを差し置いて2年の松井が先に一番風呂に入っていて驚いたというエピソードだ。年明けにテレビで放送された2人の対談でもやはりイチローがその話をしていたが、現役だったそのときも面白ネタとして楽しそうに話していた。
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松井はアスレチックスに所属していた2011年4月、ESPN電子版のインタビューでイチローについて「我々の関係が将来どうなるのか、一緒に何かをやることがあるのか、今はわからない。ただ、野球界をより良いものにしたい、日米の野球の架け橋でありたいという思いは共通している。一緒に何かをやるかはわからないけれど、野球に対して共通する思いはあると思う」と話していた。
それから10年以上が過ぎ、イチローと松井は再会して本当に一緒になった。2人を長く見続けてきた者にとって、そのシーンは胸が震える瞬間になっていた。