- #1
- #2
メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「米メディアにもイチロー派、マツイ派がいた…」イチローと松井秀喜の“関係”「ナゾの不仲説はなぜ?」取材記者が“2人の再会”に胸を震わせた理由
posted2025/01/23 11:01
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph by
Naoya Sanuki
◆◆◆
ニューヨーク・ポスト紙で長くヤンキース番記者をしていたジョージ・キング記者は、露骨に「松井びいき」だった。
松井が1年目にシーズンの全163試合に出場し打率2割8分7厘、16本塁打、106打点と活躍してチームのワールドシリーズ進出に貢献した後のオフシーズンには、松井に会うためわざわざ東京にも訪れたほど。逆に、イチローがヤンキースに所属していた2012年7月からの約2年半の間は、イチローに関する記事はほとんど書いていない。ニューヨーク・ポスト紙でイチローの記事を書くのはたいてい他の記者で、唯一印象に残っているキング記者のイチロー記事といえば、イチローがヤンキース移籍1年目を終えてFAになりヤンキースと再契約するか否かという時期に、ヤンキースとの交渉が進んでいないことを伝える記事だった。
米でも話題「イチローとマツイの比較」
ADVERTISEMENT
イチローとマツイを比較する記事は、米メディアでたびたび登場した。松井が2009年のワールドシリーズでMVPに輝きヤンキースの9年ぶり頂点に貢献した後、シーズンMVPのイチローとワールドシリーズMVPの松井はどちらがより偉大かという論争が起きたが、そのときのAP通信の記事には日本人初メジャーリーガーの村上雅則氏のコメントを引用し「イチローは多くのことを成し遂げてきたが、それはすべてレギュラーシーズンのこと。松井が日本人初のワールドシリーズMVPを獲得したことは大変な功績であり大きな意味がある」とあった。
米野球データサイト「ファングラフス」はイチローがヤンキースにトレードで移籍した翌日の2012年7月24日付の記事でイチローと松井の成績を打撃指標データで客観的に比較する記事を掲載した。松井はその年、レイズと契約し現役最後のシーズンを送っていたが、ともに日本を代表する打者であり大ベテランとなった2人のその後の可能性を予測する内容だった。同日のニューヨーク・タイムズ電子版は「スズキとマツイは性格も才能も違うが、それぞれ米国で成功した日本人選手として常に比べられ、切っても切れない存在となったが、今、そのキャリアはさらに絡み合った」と書いていた。