「寝起きで来たのかなというときも…」大谷翔平インタビュアーが明かす“難しさ”とは？「ささやかな幸せとは何か…大真面目に考えてくれるんです」 

糸井　おお、いいですね。

石田　「ささやかな幸せ」という言葉を思いついた自分をほめたいんですけど（笑）。

糸井　僕も今、他人としてほめます（笑）。素晴らしいですね。

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石田　「ささやかな幸せ」をこの人は何に感じるんだろう、という。大谷選手は大真面目に考えてくれるんです。

糸井　わかるな、それは。

石田　アイスクリーム食べたときのことが思い浮かんだり、チョコレートの話が出てきたり、今だったらデコピンの話が出てきたり。そういう話を彼に求めてる方々もいると思うんです。その辺のバランスを取りながら、とにかく聞いちゃいけないとか、そういうタブーを持たずに聞いています。時間があれば延々聞いていたいんですけど。

糸井　大谷文法ってあるじゃないですか。「何々かなと思います」っていう。全部「かなと思います」でしゃべってる。断言はできないんだけど、今まさしく暫定的には私はこう答えを準備していますっていう。あれは大谷選手の生き方だと思うんですよね。

石田　そうかもしれません。「もちろん」という言葉もよく使いますね。自分が何かを言い切ったときに、前提をすっ飛ばして解釈されるとちょっと違った響きになってしまうから、「もちろん何々なんですけど、なんとかかなと思います」みたいなしゃべり方ですよね。

糸井　たぶん高校生のときはああじゃなかったと思うんですよね。

石田　いや、でも……高校生のときからわりとそういう感じですね。

糸井　すごいなあ。

「すっごい選手が花巻東に入ってきました」

石田　最初にインタビューしたのは高校3年生のときなんですけど、彼を初めてみたのは高校1年生のときなんですね。そのときって本当にもう、ひょろーっとした……。

糸井　背の高い少年。

石田　細い少年で。なぜ僕が大谷選手を見たかというと、大谷選手の先輩の菊池雄星選手がメジャーリーグのドジャースに高校卒業して入るか入らないかという時期があって。

糸井　花巻東高校ですね。

石田　菊池選手を高校のときに追いかけていたドジャースのスカウトの方がいて、もうちょっとのところでドジャースが獲得できるかもしれないギリギリのところまでいったんだけど、最後、日本のプロ野球にいきますってひっくり返ってしまったんです。僕はそのスカウトと菊池選手を一緒に見にいってたんですが、結局、ダメだったという日に、彼が飲んだくれているところにつきあって、「こんなチャンスは二度とない」と言っていたんですよ。そうしたら半年後に彼から連絡が来て「いやあ、石田さん、すっごい選手が花巻東に入ってきました」って。いや、そんなね、あなたが追いかけた菊池雄星というのはその程度の選手ですかって。半年後に、しかもおんなじ高校にそんなすごい選手いるわけがないですよって。

糸井　面白いですね。いや、面白い。菊池選手は相当すごかったですから。

＜後編に続く＞

#2に続く

「やっぱりツンデレなんですよ」大谷翔平インタビュアーが語った真相…大谷がふと口にした一言「なるほど、で終わったら僕は見限られていたかも…」