箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「青学大は上りが強い…」「全日本では凌げたが箱根駅伝は…」往路4位・駒澤大が青学大との差を感じた区間とは? 主力を襲った「誤算」と「異変」
posted2025/01/03 06:03
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Nanae Suzuki
「うーん、難しかったですね」
往路4位に終わった駒澤大・藤田敦史監督は、渋い表情で開口一番、そう言った。
どこが難しいと感じたのか――。
5区・山川拓馬の誤算
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「まぁ5区ですね。山川(拓馬・3年)がもうちょっと動いてくれれば、なんとかというところだったんですけど……」
山川は、藤田監督が「5区で出れば、とんでもない記録を出します」と期待して送り出した選手だった。実際にその期待に値するだけの結果を残してきた。出雲駅伝では3区2位、全日本大学駅伝では8区のアンカー区間で怒涛のまくりを見せ、ゴール前で青学大をかわし、国学院大に次いで2位に入った。区間賞の走りに大八木弘明総監督と藤田監督は敗れたとは思えない笑みを見せ、箱根での期待が一気に膨らんだ。
今回、ヒーローになる条件も整いつつあった。
4区の桑田駿介(1年)から襷をもらった時点でトップの中央大とは2分17秒差、2位の青学大とは1分32秒差で、山川の力を考えれば追いつくことも十分可能だった。
だが山川は序盤から、らしくなかった。
山川に起きていた異変
いったい何が起こっていたのか。
「途中で、左手が攣ってしまったんです。そのせいで腕を振れず、足だけで走ったので、まったく途中から足が動かなくなったんです。スタミナ不足を感じましたし、一年を通して練習できなかったのが響いたのかなという感じです。周囲のみんなが箱根で結果を出している中、自分は箱根だけ失敗するというのを毎年繰り返していますし、3年生としてみんなを引っ張らないといけないのに、こんな不甲斐ない走りをしてしまって申し訳ない」
山川は、汗を拭おうともせず、厳しい表情を浮かべて、そう言った。