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「こいつら強かったな」なぜ中大は箱根駅伝で“想定の上限より上”の2位に? “ピクニックラン”狙う青学大・原監督に藤原監督の不敵「1年生、強いですよ」
posted2025/01/03 06:04
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
Nanae Suzuki
新春の陽光にもっとも映えたのは、深紅の襷だった。
4区から5区へ襷を繋ぐ小田原中継所に真っ先に飛び込んできたのは戦前「3強」と言われた青学大でも、国学院大でも駒大でもなく、ダークホースとみられていた中大だった。
最後は力尽き、青学大に逆転優勝を許したが、107.5kmの往路のほとんどで先頭を走った。5区で青学大の若林宏樹(4年)に抜かれながらもゴールに近づいてくる園木大斗(4年)の姿が芦ノ湖の大型ビジョンに映ると、中央大の陣営からは拍手も起こった。
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往路2位。鮮やかな復権である。1年前は屈辱を味わった。優勝候補の一角のはずが、大会直前に体調不良の選手が続出し、往路13位。復路も精彩を欠いたまま、総合13位でシード権を失った。この日は違う。藤原正和監督の表情も自然と柔らかくなった。
藤原監督「やっぱり、こいつら強かったな」
「我々の想定の上限よりも上に行きました。やっぱり、こいつら強かったなっていうのが、今の本当の率直な気持ちです」
その手応えは、5区の9.5km地点で抜かれた園木を出迎える選手たちの表情を見ればわかる。園木がゴールテープを切ると、エースの吉居駿恭(3年)ら仲間は笑顔だった。
吉居はねぎらうように言った。
「園木さんにはホントに3年間お世話になっているので、もっと自分たちで差を広げていれば優勝させてあげられたのにと感じて、申し訳なさもありました」
中央大の快進撃を生んだのは、まぎれもなく1区吉居の快走だった。東京・大手町をスタートすると、すぐに集団から抜け出した。最初の1kmを2分46秒で入ったが後ろが追いついてこない。腹をくくった。
「スローペースが嫌だったので、2分50秒ぐらいのペースで行けるように。最初のきっかけを作るためにも前に出たのですが、誰も反応してこなかったので、このまま行ってしまおうかって感じでした」