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猛牛のささやきBACK NUMBER
「毎っ年じゃないですか! 自分はTのそこが嫌だった」オリックス・安達了一が明かす闘病と“盟友”T-岡田との絆「あいつは全然聞いてくれない(笑)」
posted2024/12/31 11:07
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
SANKEI SHIMBUN
「病気になっていなかったら、ここまでできていなかったかもしれない。病気になってよかったというのはおかしいですけど、いい方向には行ったと思います」
引退セレモニーが行われた9月24日のホーム最終戦のあと、安達了一はこうつぶやいた。
難病と“付き合い”ながら…
安達は2016年1月、国が指定する難病の潰瘍性大腸炎と診断された。入院して治療を行い、その年4月に一軍復帰を果たすことができたが、そこからは病と付き合いながらのプロ野球生活を送ってきた。食事に細心の注意を払い、十分な睡眠をとるなど体調管理を徹底しても、病気が再燃し、離脱することも何度かあった。
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ナイター翌日のデーゲームは休養するなど、週1、2日休息日を設けることで体調は安定していったように見えたが、プロ選手としては当然、休むことに葛藤もあった。
初めてリーグ優勝を経験した2021年のシーズン中、ショートからセカンドへコンバートされた際、「納得はしています」とサバサバと話しながらも、もどかしさ、悔しさをにじませながらこう語っていたのが忘れられない。
「そりゃ、病気もなくて、ずっと出られるんだったらショートでやりたいですよ。でもずっとは出られないから……。自分がショートを守らなかったら、たぶんオリックスは強くなると思っていた。だって、やっぱりショートは常に出ていないと。勝っていくチームって、ショートが固定されていると思う。内野の中心ですから。でも自分は、毎試合は出られないじゃないですか」
誰かのために、と…
病気がなければと、何度思ったことだろう。
だが引退試合を終えたあと、「病気になっていなかったら、ここまでできていなかったかもしれない」と清々しい表情で言った。その真意を、改めて尋ねた。