- #1
- #2
猛牛のささやきBACK NUMBER
「毎っ年じゃないですか! 自分はTのそこが嫌だった」オリックス・安達了一が明かす闘病と“盟友”T-岡田との絆「あいつは全然聞いてくれない(笑)」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2024/12/31 11:07
低迷期からオリックスを支えた2人には強い絆がある
「病気になって初めて気づかされたことってあったと思うんですよね。以前は、野球をやって当たり前だと思っていた。でも、野球ができる喜びを感じられるように変わりました。応援される喜びも。それからは、ファンの人たちのためにとか、支えてくれる人のためにという思いでやるようになりました。
それまでは自分のためだった。それは普通というか、当たり前。でも誰かのためにと思うほうが頑張れる。やっぱり応援されてなんぼじゃないですか、プロ野球選手って」
激励の声を力に
病気になったあと多くのメッセージが寄せられ、それまで以上に応援が自分の大きな力になっていると感じた。
ADVERTISEMENT
「『自分も同じ病気ですけど、安達さんの姿を見て頑張れます』というような言葉をくださる人も多かったし、いろんな言葉に支えられた。そうして頑張ってもらえるなら、自分はもっと頑張ろうという気持ちになりました。そういうのって(病気をしていない)普通の人はないじゃないですか」
体調を考慮し、オンとオフのメリハリを意識するようになったこともプラスに働いたという。
「やる時はやる、休む時は休むというオンとオフの重要性を学びました。以前はどうしても、練習やりたい、練習やらなきゃ、となっていたんですけど、休むことも大事だなと学んで、『休むのも練習』と思えるようになりました」
「盟友」Tー岡田とのやり取り
悔やまれるのは、その学びを“親友”と分かち合えなかったことだと、苦笑しながら明かした。
「自分はそれがわかって、T(T-岡田)にも伝えたんですけど、全然わかってくれなくて、あいつは全然休まなかった。『休め!』いうてんのに、全然聞いてくれないんですよ(苦笑)」
同学年で、勝てない苦しい時代からチームをともに支えてきた盟友は、奇しくも今年、一緒にユニフォームを脱ぐこととなった。
「Tは、休んでいたらもっとできたかもしれない。まあ、そこはわからないですけど、自分はそれを何とかTに伝えたかった。『意外と休んでもいけるぞ。休むのも大事だぞ』って。でも全然ダメでした。『だってオレ、安達とは違うもん』って(笑)」