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「近い将来、黄金期を迎えたい」全国高校駅伝“史上最速ランナー&全国制覇のエース”が揃って早大へ…超ルーキー候補に花田監督が抱く野望は?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2024/12/25 17:03
全国高校駅伝のエース区間である1区と3区で区間賞を獲得した鈴木琉胤(八千代松陰)と佐々木哲(佐久長聖)。ともに早大へ進学する
実は早大のスポーツ推薦枠は、他の強豪校に比べて極端に少ない。来春の入学者も鈴木、佐々木と堀野正太(須磨学園・兵庫)の3人だけだ。特に10区間で競う箱根駅伝で戦う上では不利にも思えるが、花田監督はプラスの面に目を向けている。
「逆に人数が少ないことで集中してしっかり指導できるのは良いと思います」
実は鈴木が早大への進学を決めたのもここがポイントだったという。
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「人数が少ないので1人1人をちゃんと見てくれる。自分を大事にしてくれる場所は早稲田かなと考えて、進学を決めました」
鈴木と佐々木の2人がともに語るのは、「世界への挑戦」と「箱根駅伝への憧れ」だ。早大は2011年の第87回大会を最後に箱根駅伝の総合優勝から遠ざかっているが、鈴木は“優勝”の二文字も口にした。
「箱根駅伝の優勝を目指して、先輩たちの力になりたい。自分たちの代には佐々木君もいるので、切磋琢磨してやれればいいなと思っています」
一方の佐々木も、新たなチームメイトと鍛錬を重ねる日々を心待ちにしている。
「冬は、やっぱり箱根駅伝が憧れの舞台なので、その憧れの舞台に自信を持って臨めるように練習していきたいと思います。鈴木君と同じチームになれるのは頼もしく思います。高校では濵口(大和、中大に進学予定)、来年からは鈴木君と自分よりも強い選手と一緒に競えるのは幸せなことだと思います。一緒に強くなっていきたい」
花田監督「近い将来、早大の黄金期を…」
鈴木も佐々木もトラックでのタイムや実績もさることながら、この都大路ではそれぞれの“駅伝力”の高さを感じさせるレース運びを見せた。他チームからマークされる中で、最初から最後まで一度も先頭を譲らず圧倒した鈴木の走りはもちろん、連覇を狙うチームにあって、ライバルに大きく先行される展開でもしっかりと先頭を捉えてみせた佐々木の猛追も特筆すべきものだった。そんなWエースが来春に入学するのだから、期待は高まるばかりだ。
「他大学も一番来てほしいと思っていた世代ナンバーワン、ナンバーツーが来てくれるのですから、彼らの力をしっかり伸ばして近い将来、黄金期を迎えたい」
花田監督はそんな未来を思い描く。
それを実現するためにも、まずは目の前に迫った箱根駅伝に全力を注がなければならない。
「彼らが入った時に優勝を目指せる布陣ができると思うので、そういう意味では今回の箱根駅伝で、その布石を打っておきたい。チーム目標は総合3位以内を掲げています。過去2回はチームの力はほぼ出せましたが、ベストメンバーでは臨めなかった。今回は、ベストメンバーを組んだなかで、ベストのチーム力を発揮し、どのぐらいまで行けるかを見てみたいと思います」
その先に、明るい未来が開かれる。