格闘技PRESSBACK NUMBER
「朝倉海の顔が真っ赤になって…」右腕一本で衝撃の失神…“異例のUFC王座挑戦”も王者は辛口評価「日本から来たヤツがベルトを奪えると思ったか?」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byGetty Images
posted2024/12/12 19:16
12月7日、UFC初戦でフライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャに挑んだ朝倉海。リアネイキドチョークで一本負けを喫した
乗せられた選手は野獣と化し、感覚は鋭く研ぎ澄まされ、ややもすると生死の境目をも想起させるギリギリのファイトをやってのける。この日のパントージャがまさにそうだった。SNSを武器に多くのファンを味方につけた新しいタイプの外敵を迎えることで、SNSでの発信にはさほど熱心ではない王者の“野獣性”はいつになく増していた。
「俺のベルトを奪えると思ったか?」
試合後、3度目の王座防衛に成功した王者は興奮気味に咆哮した。
「これがUFCのレベルだ。日本から来たヤツが俺のベルトを奪えると思ったか?」
パントージャとは対照的に、初めてのオクタゴンで朝倉の動きはどこかぎこちなく、攻撃も散発的なものが多かった。言ってしまえば、“野獣”になりきれていなかった。
この一戦の結果を受け、朝倉はUFCフライ級の14位にランクインすることになった。去る10月12日の『UFC Fight Night』で同級1位のブランドン・ロイバル(米国)に初黒星を喫した24歳の平良達郎(TBJ)は、現在5位につけている。
また同級には、6月29日の『UFC 303』でデビューした22歳の鶴屋怜(TBJ)も控えている。朝倉が敗れた直後、MMA10戦全勝の鶴屋は自身のSNSにこう記した。
「朝倉海はUFCのチャンピオンにふさわしくない。日本人初チャンピオンは俺がなります」
あくまで一例ではあるが、日本人同士でレベルの高い攻防を繰り広げるようなマッチメイクが実現すれば、UFCに対する人々の興味は持続されるのではないか。UFCでの借りはUFCで返すしかない。試合前の熱狂を、幻想のままで終わらせてはいけない。