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「朝倉海の顔が真っ赤になって…」右腕一本で衝撃の失神…“異例のUFC王座挑戦”も王者は辛口評価「日本から来たヤツがベルトを奪えると思ったか?」

posted2024/12/12 19:16

 
「朝倉海の顔が真っ赤になって…」右腕一本で衝撃の失神…“異例のUFC王座挑戦”も王者は辛口評価「日本から来たヤツがベルトを奪えると思ったか?」<Number Web> photograph by Getty Images

12月7日、UFC初戦でフライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャに挑んだ朝倉海。リアネイキドチョークで一本負けを喫した

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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 レベルの差を見せつけられた一戦だった。

 12月7日にラスベガスで行われた『UFC 310』のメインイベントで、朝倉海(JTT/日本)は王者アレッシャンドリ・パントージャ(ATT/ブラジル)のリアネイキドチョークの前に2ラウンド2分5秒一本負け。UFCフライ級王座奪取に失敗した。

右腕一本で朝倉海を失神させたパントージャ

 1ラウンド、朝倉はノーモーションの飛びヒザを繰り出し、その後の展開を期待させた。さらに王者が入ってくるタイミングでカウンターのテンカオ(ヒザ蹴り)を決める場面もあった。だが、パントージャは全く表情を変えることなく左右のフックを返していく。

 白眉は2ラウンド開始早々、左フックに対し右を返してきた朝倉と組み合うや、スタンド状態のままバックをとり、右足を絡ませながら体勢をキープした場面だろう。獲物を仕留めるために、その前段階で相手を徹底的に弱らせる――筆者の目には、このときのパントージャが弱り始めた獲物を組み伏せ、どうやってとどめを刺そうかとタイミングを窺う猛獣に映った。

 案の定、その後はスタンド状態の朝倉の背後から跨がる形となり、得意のグラウンドへと持ち込む。同時に両足で朝倉のボディをしっかりと4の字フックで固めていた流れはお見事というほかなかった。

 フィニッシュも衝撃的だった。最初は左腕で仕掛けていたチョークだったが、極まらないと判断するや即座に体の向きを変え、最後は右腕一本で絞め上げたのだ。添えられた左腕を懸命にほどいた朝倉を、パントージャは片腕だけで失神させた。意識が落ちる直前、朝倉の顔は真っ赤になっていた。

破格の扱いも…レジェンドの予想は「パントージャ有利」

 朝倉が落ちた瞬間、夢から覚めた気持ちになった。UFCデビュー戦でいきなりのタイトル挑戦、2024年最後のナンバーシリーズでメインイベントに抜擢……。朝倉の扱いは何もかも破格だったといっていい。この一戦は、過去の日本人のUFC参戦とは別種の熱狂を生み出していた。

 10月中旬に取材したとき、朝倉は自信満々に言い放った。「練習はきついけど、準備は整っています」と。その表情から、「日本人初のUFC王者」への絶大なモチベーションが伝わってきた。

【次ページ】 「いきなり王者に…」膨らんでいった幻想

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