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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「ちょっと疲れたな」順調だったイタリア生活、でも母には伝わっていた“危険なサイン”…大塚達宣(24歳)を救った母の助言と石川祐希の存在
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byPA Images/AFLO
posted2024/12/08 11:05
今季からイタリア・セリエAのミラノでプレーする大塚達宣(24歳)。実力者が揃う中で、激しいレギュラー争いに身を置いている
ミラノに行ってから淳子さんとは毎日連絡を取るようになっていた。「日本にいた時よりも濃い話を親にしてますね」と大塚は笑う。
大塚には妹がいるため実家では「お兄ちゃん」と呼ばれている。「ちょっと疲れてきたかも」ともらすと、真面目で頑張り屋な「お兄ちゃん」の現状を淳子さんはすぐに察したのだろう。的確で温かいアドバイスを次々に送ってくれた。
「たまにはスーパーでアイスでも買ってきたら?」
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「明日、練習が午後しかないんやったら、朝は無理せずゆっくり寝てみたら?」
「泣けるドラマ観て、思いっきり泣いたら?」
「のんびりできる時は、美味しいもの食べたり、思いっきり泣いたり、いっぱい寝たり、できるだけ自分のご機嫌をとりましょう」
「スタートは成功したから、ここからは少しのんびりいこう。チームの人はみんな、もうどんな性格かわかってくれてるやろうから、しんどい日はあんまり頑張って語学の勉強せんでもいいと思うよ」
「人と比べなくていいんだよ」ということもよく言われるという。
「最初からチームにフィットして活躍できる人はいてへん。あ、石川さんはイタリア長いから、比較対象外やで」
石川祐希や高橋藍の名前がちらほら出てくる。イタリアで成功した2人のことを大塚がつい意識して、自分を追い込んでいると感じたのかもしれない。
「いろいろ言ってくれて、楽になりましたね」と大塚は感謝する。
チームメイトも認める大塚のエネルギー
同じ時期にチームメイトからかけられた言葉も、大塚に再び力を与えた。
「タツノリは、朝の練習からニコニコいい顔して、『ボンジョルノ!』って元気に来るから、こっちも元気になるよ。お前はそういうエネルギーをチームに与えてくれるやつだよね」
ミラノに来てからやってきたことはしっかりと報われていた。
「自分の“存在価値”じゃないですけど、そんな話をしてくれました。イタリアは結構、朝弱い人が多いみたいで(笑)。
プレーは急にガッとうまくなるわけじゃないけど、そういうエネルギッシュな部分は、やろうと思えばいつでもできること。だからそこは大事にしたいなと改めて思いながら、(9月14、15日に行われた)イエージ・カップに行きました」