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英国記者が絶賛「アオはリーズの王様だ」日本人が知らない、“イギリスで評価急上昇”田中碧26歳の今…本人が現地記者に語った「やっていて楽しい」
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2024/12/04 11:30
10月18日のシェフィールド・U戦。2-0で勝利し、MOMに輝いたリーズ田中碧(26歳)とダニエル・ファルケ監督
そしてマイボールになると、サムライ戦士は左右にスピーディーにパスを散らして攻撃を組み立てる。敵に寄せられてもキックフェイントや横パスを巧みに入れ、不用意にボールを失うことがない。興味深かったのは、前半23分の場面。田中が攻撃のギアを一気に上げる鋭い縦パスを供給すると、リーズの本拠地エランド・ロードの住民から「オォ」という驚きと感嘆がこもった太い声が沸き起こった。
守備でも効いていた。特筆すべきはインターセプトの上手さ。試合展開を読む力に長けており、相手のパスをインターセプトしたり、ブロックしたりと奮闘。「アオが中盤をコントロールしている」(オブライエン記者)との言葉通り、まさに堂々たるパフォーマンスだった。
しかもこの試合で、田中はファン選出のMOMをまたしても受賞。チームは3-0で快勝し、首位に浮上した。次節ブラックバーン戦に敗れたことで順位を3位に落としたが、それでも首位に勝ち点3差の射程圏内につける。2部の1~2位がプレミアリーグに自動昇格となるだけに、来季のプレミア行きは極めて現実的な目標である。
田中碧が語った「評価はありがたいですけど…」
ここまで田中のパフォーマンスを見ていて強く感じるのは、日本代表MFがリーズに完全にフィットしていること。そこでルートン戦後、田中に聞いてみた。「ルートン戦で10試合連続で先発となりました。チームに素早く馴染み、リーズでずっとプレーしてきたかのように見えます。どんな感触ですか」と。田中はこう答える。
「そうですね。でも、課題はたくさんあるし、そこは全然(まだまだ)。自分のフィーリングとしては『まだまだやらないといけないことがあるな』と。そういう意味でも、一喜一憂していない。とはいえ、やっぱり勝つことが、チームにとってすごく大事なので。そこの満足感は多少あるかなと思います」
(記者:では課題はどのあたりに?)
「チャンピオンシップ(イングランド2部)は試合数が多い。3連戦の最後の試合や、試合の後半に、どうしてもミスが増える。身体的な疲労があったり、頭が疲れることもあったり。シンプルに体力がないのもそうだし、そういうところがすごく課題だと思っています。
ここを、いかに自分でコントロールできるか。多少トライしてボールを失い、守備する時間が増えるぐらいなら、そんなにトライせず、ボールを持って体力を温存するのもひとつの手かなと。攻撃に関しても、これだけ試合に出ているのだから、個人的にはそろそろゴールやアシストが欲しい。そこが課題かなと思っています」
田中の言葉には、浮ついたところがまるでない。筆者が「チーム内はもとより、英国人記者の評価も非常に高いです。彼らの声をどう受け止めてますか?」と聞いてみても、やはり謙虚な姿勢を崩さない。