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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「ザイオン?知ってるよ。有望なGKだ」バルサ名手、ブラジルの“天才悪童FW”が慈善試合で…白髪だらけロマーリオ、エジムンドは審判に猛抗議
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAGIF via AFP/JIJI PRESS
posted2024/12/01 11:00
ブラジルで開催されたバルサOBの慈善試合。そこで見聞きしたレジェンドの意外な姿と言葉とは
元ブラジル代表右SBカフーがキャプテン。FWエジムンドにワシントンら元Jリーガーもおり、元アルゼンチン代表MFアンドレス・ダレッサンドロ、元ウルグアイ代表DFディエゴ・ルガーノら、こちらも豪華な顔ぶれだった。
スタンドは3万人近い観衆で埋まり、出場する選手の名前が呼び上げられる度に拍手が起きた。
ロマーリオ58歳、現役復帰も白髪が
最も大きな声援を受けたのが、ロマーリオだ。
1994年W杯のブラジル優勝の立役者で、選手、監督としてもバルサのレジェンドである故ヨハン・クライフいわく「ペナルティエリア内では世界歴代最高のストライカー」。勝負強さも抜群だったが、練習嫌いで夜遊び好き。歯に衣着せぬ物言いでも知られた。しかし、ブラジル人は彼のように「ワルだがやるときはやる」男が大好きなのだ。
還暦まであと1年2カ月だが、腹は全く出ておらず、体形は現役時代とほぼ同じ。ただし、頭が薄くなり、白髪が目立つ。
現役引退後、意外にも政治家に転身。2010年から国会議員を務め、今年1月からリオの小クラブ、アメリカ(リオ州2部)の会長になった。じつは4月に現役復帰を発表したが、まだ一度もピッチに立っておらず、この日が復帰戦と評してもいい。
午後7時過ぎ、両チーム選手が入場し、ブラジル国歌に続いてバルセロナのクラブ歌が流れた。ブラジルでこの歌が流れたのは、おそらく初めて。まるでカンプ・ノウ(クラブ本拠地)にいるような錯覚を覚えた。
午後7時半、ペレの娘フラビアさんがキックオフを行ない、試合が始まった。
驚いたのは、ピッチに立ったバルサ・レジェンズに背番号10が3人いたこと。ロマーリオ、リバウド、ジョバンニだ。広報担当者にその理由を尋ねたところ、「3人とも、どうしても10番が欲しいと言って譲らなかったので……」と苦笑していた。
序盤は、平均年齢がやや若いペレPPが押し気味だった。バルサの選手たちは運動量が少なかったが、それでも往年のテクニックと創造性は健在だった。
前半13分、バルサ・レジェンズが先制する。相変わらずひょろりと背が高く、O脚がトレードマークの52歳リバウドがゴール前やや左の位置からFKを蹴った。壁に入った54歳カフーに当たってコースが変わり、ボールはゴール右隅へ吸い込まれた。
前半終了間際、ゴール前やや左に陣取るゴマ塩頭の58歳ロマーリオへパスが渡った。右足アウトサイドでボールを軽く跳ね上げると、右足で強烈なボレーシュート。スタンドがどっと沸いていた。
問題児エジムンドは相変わらず主審に…
ペレPPで元気だったのは、こちらも問題児として知られるエジムンドだ。