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「自転車にヒョイとまたがって…“バーイ”」男子バレー新監督ロラン・ティリってどんな人? 親日家の60歳、選手も信頼「ティリさんは引き出しが多い」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/11/26 17:00

「自転車にヒョイとまたがって…“バーイ”」男子バレー新監督ロラン・ティリってどんな人? 親日家の60歳、選手も信頼「ティリさんは引き出しが多い」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

バレーボール男子日本代表の新監督に就任したロラン・ティリ。12月1日で61歳になる

「選手のモチベーションが低く、いさかいも多かった。バレー協会は財政難で、五輪に出場できずフラストレーションもたまっていた。長期的なプログラムもなかった」

 問題が山積する中、ティリ氏はコート内外で改革を行なった。実績や年齢によって大きな差があった代表選手の日当を一律にし、それまでは短かった代表の合宿期間を長期間に延ばした。選手たちには、「日当は十分には払えないけれど、目標を達成するためには合宿が必要なんだ」と事情を伝えた。

 反発して去っていく選手もいたが、その時ティリ監督と共に歩むことを選んだ一期生の中に、のちに東京、パリ五輪で連覇を果たすことになるリベロのジェニア・グレベニコフ、セッターのバンジャマン・トニウッティ、ミドルブロッカーのニコラ・ルゴフ、監督の次男ケバン・ティリ、そして五輪で2大会連続のMVPを獲得するイアルバン・ヌガペトがいた。

練習はハードだが、コート外は自由を与える

 ティリ監督が選手に求め続けたのは、「毎日の練習で100%を出し切る」「限界を作らない」「言い訳をしない」の3つ。練習はハードだったが、コート外では自由を与えた。

 監督就任3年後の2015年にワールドリーグやヨーロッパ選手権で優勝し、2016年リオデジャネイロ五輪で3大会ぶりの五輪出場を果たす。2大会連続出場となった東京五輪では、予選ラウンドで苦戦しながらも、決勝トーナメントを勝ち抜き、悲願の五輪金メダルを獲得した。

 東京五輪を最後にフランス代表監督は退任したが、パナソニックからのオファーがなければ、そのままフランス代表を率いる可能性が高かった。東京の次はパリ五輪。続けていれば自国開催の五輪で母国を率いることができたが、ティリ氏はそれよりも、日本での新たな挑戦を選んだ。

【次ページ】 パリ五輪続投よりパナソニックへ、なぜ日本へ?

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