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「サン・シーロに心が震えた」
長友が“ネラッズーロ”をまとった夜。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/02/07 12:35
“ネラッズーロ”の長友にサポーターから万雷の拍手!
試合は前半から派手な撃ち合いになった。
先発復帰したMFスナイデルが開始3分で先制点を奪うと、中盤底のプレイメイカー、MFカンビアッソと試合のリズムを作る。後半17分にローマが退場者を出し、エトーの2ゴールなどで4対1とした後の後半30分、レオナルド監督はお役御免のスナイデルを下げる決断をする。サネッティは右SHへスイッチ。サポーターの万雷の拍手の下、“ネラッズーロ(青・黒)”のユニフォーム姿の長友佑都がピッチに走り出した。
ローマFWブチニッチにFKの流れから追加点を奪われた後、カンビアッソは反撃のボールを長友に託す。34分、長友は一気に加速した。ミリートとのコンビで左サイドを突破、ペナルティエリアへぐんぐん急接近すると、ゴール前へ詰めていたエトーへ絶好のクロスを放ち、いきなりスタジアムを沸かせた。
試合後にはチームメイトたちと肩を組んで喜びあう姿も。
相手CKから1点差に詰め寄られるが、37分にも左サイドを突破し、スルスルとペナルティエリア内に入ると、折り返しのクロスを送り、マイコンのミドルシュートを演出した。
「“決めてくれ!”と思って、パスを出した。ああいうプレーを続けていけば、絶対点を取ってくれる。(このチームには)取れるメンツが前にいるんでね」
快活に話した長友には、アシストこそつかなかったが、彼はしっかりとインテルの攻撃コンポーネントの1パートを担っていた。
カンビアッソが45分にダメ押しゴールを決めた後、3分間のロスタイムを凌ぎきり、5対3の派手なゲームを制した後、隣にいたCBコルドバや中盤の選手たちと肩を組んで喜んだ。
「まだスタメン組とは1回しか練習をしていない。これからどんどんよくなっていくはず」と長友が言う通り、今後の課題は、この試合ではまだ明確に見えなかった他のDFとの連携守備だろう。
DFながらもスーパーサブとしての起用が今後も予想されるが、出場回数を重ね、守備面での信頼を得られれば、先発起用への道は開けてくるはずだ。