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「サン・シーロに心が震えた」
長友が“ネラッズーロ”をまとった夜。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/02/07 12:35
「サン・シーロは特別。今日入るとき、心が震えた。(ピッチに入ったときには)興奮した」
インテルDF長友佑都が、6日夜のローマ戦でついにデビューを飾った。
試合直後のミックスゾーン、彼の瞳はまだ爛々(らんらん)と輝いている。
ロッカールームでレオナルド監督やマテラッツィから「Bravo!(よかったな!)」と祝福の言葉を受けた、と語る長友に、2得点してご機嫌のエトーが陽気にハイタッチをして行った。浮き立つような笑顔。
“俺のホームは、サン・シーロ”
今、長友は胸を張ってそう言える。
「スクデットは獲らないといけない」
電撃移籍の成立後、2月2日にチームへ合流すると、3日にはバリ戦でベンチ入り。出場はならなかったが翌4日、ミラノ郊外のアッピアーノ・ジェンティーレ練習場で初会見に臨んだ。長友の軽快なイタリア語も飛び交う会見は和やかに進んだが、逆転タイトルについての質問が飛ぶと、眼差しと言葉に力がこもった。
「スクデットは獲らないといけない」
“日本語で放たれたスクデット宣言”に、思わずこちらの背筋も伸びた。彼の中には、すでに欧州トップクラブの精鋭たちの一員となった自覚が根付き始めている。
前節バリ戦で蛮行を犯したDFキブへ4試合の出場停止処分が科され、ローマ戦での長友先発は濃厚かと思われた。だがここ数年、国内タイトルを競い合う因縁のライバルを相手に、レオナルド監督は1月に獲得後好調のMFハルジャを継続して先発起用。本格復帰したMFカンビアッソに押し出される形で、サネッティが左SBへスライドした。
昼の試合で首位ミランが引き分け、どうしても勝ちたかった指揮官は、ベテラン主将の経験と信頼を買った。
夜霧に包まれたサン・シーロに、轟音のようなサポーターの怒号が鳴り響く。長友は「レオナルド監督に向けて『出してくれ』と念じてました」と、ベンチで出番を待った。