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「本来4番を打てる打者ですけど」侍ジャパン井端弘和監督が牧秀悟を6番で起用するワケ…プレミア12“連覇のキーマン”に挙げた佐野恵太の役割とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/20 17:20
プレミア12では侍ジャパンの6番打者として起用されている牧秀悟。ポイントゲッターとしてここまで勝負強さを発揮している
「牧選手は本来、4番を打てると思っている打者ですけど、走者を置いた場面、より多くチャンスで回ってくるところでいってもらっている」
豪州との開幕戦から6番に起用されると、監督の狙い通りにその試合で早速、7回1死三塁から中前にタイムリー。2戦目の韓国戦でも2対3の5回2死満塁から中前に逆転適時打を放つと、キューバ戦でも5回に4点目となる右前適時打と勝負強さをいかんなく発揮して、サムライ打線のポイントゲッターとなっているのだ。
この「6番・牧」の存在を利用しながら、どうやって打線をさらにパワーアップするか。そこがスーパーラウンドに向けた攻撃での1つのカギとなるわけだ。
「牧の後ろの7番か8番にもう1人、ポイントゲッターになれるバッターを置きたい。下位打線にもう1つ、クリーンアップを作れれば打線が、さらに“ひと押し”できるようになると思う。そう考えたときに佐野の状態が上がってきているのが、僕にとっては非常に心強いんですね」
ダブルクリーンアップ構想のキーマン
こう語って指揮官がダブルクリーンアップ構想のキーマンとして挙げたのが、佐野恵太外野手(DeNA)だった。
「本当は佐野を代表に呼びたかった」
昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップで、侍ジャパンを指揮することになった井端監督がこう語っていたのを聞いたことがある。その時はチーム編成のベースが24歳以下、入団3年目以内でオーバーエイジ枠も限られていたので、実現はしなかった。
「佐野は対戦したことのない、初見の投手への対応が素晴らしくいいんです。実はプロ1年目に代打で起用されていたときから、そこに注目して観ていたんですよ。打席でのアプローチの仕方だったり、そういうところが国際大会向きだなと思っていました」
今回の代表選出の際には、初見の打者への強さを買ったという話を、本人にも直接している。
「井端監督からそういう話もしていただきました」
佐野は語る。
「僕は(プロ入りから)出だしの3年間くらいは、代打がメインだったので。その時の経験だったりとかも、この大会で生かせるものは、どんどん生かしていきたいと思います。自分の中では初見の投手と対戦したときに大事なのは、データや資料の中でまずちゃんとイメージを作ること。それに加えて打席の中で繊細にその投手の特長だったり、球筋だったりとかを感じながら、でも最後は大胆に。やっぱり大胆さが大事、割り切ってスイングできることが重要になると思います」
佐野恵太が語る「自分の役割」とは
DeNAの一員として牧、桑原将志外野手とともに、シーズン終了後もクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージからポストシーズンもフル参戦。日本一に輝いた日本シリーズから休む間もなく代表に合流してきた1人だ。