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「言い訳をしたくなることも」菅原由勢24歳の葛藤…出場機会を失ってもなぜ折れなかった? “最高のお手本”はあの選手「尊敬しかありません」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2024/11/17 17:00
11月15日のインドネシア戦、途中出場から4点目を決めた菅原由勢。ベンチメンバーの谷晃生や瀬古歩夢に祝福される
試合に出られないからといって、「落ち込んでいるわけではなかったです」と笑う。同時に、「全員が僕の状況をすごく理解しようとしてくれて、ホントに励ましてくれる」とも話す。チームメイトの心遣いが嬉しく、それもまた自らへ矢印を向けることにつながっていった。
「何かね、自分のためよりもそういう選手たちのためにやらなきゃと思えたので、素晴らしい瞬間だったと思います」
“最高のお手本”はあの選手「尊敬しかありません」
チームへの忠誠心が揺るがないのは、最高のお手本が身近にいるからだろう。長友佑都だ。カタールW杯以降は出場機会がなく、最終予選では招集されるもののメンバー外が続ているベテランは、それでもチームを力強く支えている。
「いやあ、あの人の存在を言葉で表すのはすごく難しいというか。やっぱりあの人がいるといないでは、チームの雰囲気だったり、試合前の雰囲気作りだったりが、全然違うというか。それがいいか悪いかじゃなく、あの人の存在があってこそメリハリがつけられていると思うので。しかもあの年齢であれだけの経験がありながら、ベンチに入れないことで悔しい思いを感じながら、先頭に立ってチームを引っ張ってくれている。その姿勢には尊敬しかありません」
チームは最終予選の5試合を終えて、4勝1分の勝点13で首位に立っている。継続性がもたらすチームとしての成熟度を土台に、「個」が力を伸ばしていく現在の日本代表は、国際的にも競争力の高い集団と言っていい。そのうえで、勝利の原動力となる一体感を磨き上げている。
ピッチ上でのプレータイムが限られても、菅原由勢はチームファーストの姿勢を貫く。アジア最終予選を戦っていくチームにとって、彼もまたかけがえのない存在なのである。