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「言い訳をしたくなることも」菅原由勢24歳の葛藤…出場機会を失ってもなぜ折れなかった? “最高のお手本”はあの選手「尊敬しかありません」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2024/11/17 17:00
11月15日のインドネシア戦、途中出場から4点目を決めた菅原由勢。ベンチメンバーの谷晃生や瀬古歩夢に祝福される
「さっき監督とも話しましたけど、 サッカー選手としてやってる以上、11人で出場権を争うわけで、そこに対してのライバル心は当然あるわけですけど、いまの代表チームはライバル心はあれど、リスペクトの気持ちもある。僕の1点も、ああやってみんなで喜べる。あんなにみんな来てくれるのが、僕からしたら感動的というか。みんなが勝ちたいって思っていて、そのなかで出られない選手のことを考えたり、ホントにみんながチームのことを考えてる。素晴らしいと思います」
出場機会を失い「言い訳をしたくなることも…」
カタールW杯後の2023年3月に国際Aマッチ初先発を飾った菅原は、そこから酒井宏樹が退いた右サイドバックのポジション争いをけん引していく。24年早々のアジアカップでは毎熊晟矢に先発を譲る試合もあったが、3月の北朝鮮戦ではスタメンに復帰している。
チーム内での立ち位置が変化したのは6月だ。森保監督が4-2-3-1から3-4-2-1へのシステム変更に着手すると、右ウイングバックで堂安律が起用されるようになる。アジアカップ後にチームを離れていた伊東純也も、9月の最終予選開幕をきっかけに戻ってきた。ウイングバックにより攻撃的な選手を配するというコンセプトの前で、菅原の序列は後退していく。9月、10月と4試合連続で出場機会を得られなかった。
「人生がすべてうまくいくわけでなくて、言い訳をしたくなることもあるし、それを誰かに言うわけではないですけど、思うことはあります。けど、それを言っても僕のサッカー人生が変わるわけでもないし、パフォーマンスが変わるわけでもない」
菅原は首に巻いたタオルで、額の汗を拭った。ミックスゾーンと呼ばれる取材エリアは、じっとりとした空気に包まれている。
「そこはしっかりね、負けそうになったとしても、自分自身に矢印を向けて自分がやるべきことだったり、何が必要なのか、もっといい選手になるためにどうなるべきだというのを、つねに考えるべきだと思ったんで。そういう難しい時期をどう過ごすかで、また先が見えてくると思うので。今日は出場機会を得られて結果は出たけど、これも過程のなかでのひとつに過ぎないです」