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「清原正吾は野球をやめると思う」慶大の監督が激白…“ドラフト指名漏れ”から9日後、記者に語った後悔「覚悟あった。調査書が届きませんでしたから」
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/04 18:10
無念のドラフト指名漏れを味わった清原正吾。気になる進路は? 慶大の監督がインタビューで明かした
「たとえ育成契約でもプロに行くのか、何度も話し合ってきましたが、本人の覚悟が私も最後までわからなかった。本来、育成でも契約する意思があるかどうかは調査書に記載するものです。しかし、届かなかったものですから、正吾の意思を球団に伝えることもできなかった。私に対して電話で2球団ほど、問い合わせ的なものはありましたが、『育成でも絶対に行きます』というようなお返事はできなかったんです」
NPBの球団スカウトから電話が入った時の対応について、堀井は自戒するようにこう続けた。
「僕自身も、支配下ならOK、育成ならNGと最初から決めつけるのではなく、育成指名であっても球団の育成方針などを聞いてから判断しようと思っていた。もしあの時に、『育成でもなんでも行きます』と伝えていたら、結果は違ったかもしれません。僕は『お話を伺ってから決めます』とお答えしたので、もしかしたら球団としては(正吾の指名に対して)消極的になり、二の足を踏んだのかもしれません」
ドラフト直前の会見場で…正吾の言葉
父の薬物事件を機に中学、高校と野球から離れていた正吾は大学進学のタイミングで再び野球を始めることを決断した。高校3年の秋口に父と共に下田グラウンドを訪れ、堀井や当時の上田誠コーチにその意向を伝え、入学後、正式に入部が認められた。その日から、リーグ戦の行われる神宮球場で本塁打を放ち、そのボールを両親にプレゼントするという夢を胸に秘めた。
正吾が六大学の名門・慶應で「4番・ファースト」のレギュラーを掴んだのはこの春からだ。本塁打こそ放てなかったがベストナインに選出されると、秋のリーグ戦では重要な局面——明治戦での同点本塁打と東大戦での先制本塁打という2本塁打を記録した。
しかし、ドラフトが近づくにつれ、正吾は精彩を欠くようになっていった。
10月12日と13日に下田グラウンドで行われた東京ガス、NTT東日本とのオープン戦では、正吾のバットから快音が響くことはなかった。続く10月19日、20日のリーグ第6節・法政戦では計8打数無安打で2三振を喫し、低めの変化球にバットが空を切る度に球場全体から溜息が漏れた。チームも連敗して順位は5位にまで落ち込んだ。
視察に訪れたスカウトに良いプレーをみせたいという気負いがあったわけではないだろう。2三振した10月20日の法政戦後に会見場に呼ばれた正吾は、ドラフトに向けた感想を訊かれ、「特にありません」と素っ気なく答えただけだった。