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「大活躍のちケガ」を繰り返し…今季で現役引退の巨人・梶谷隆幸(36歳) 同期入団の親友が見た“ケガと向き合い続けた”野球人生とは?
text by
高森勇旗Yuki Takamori
photograph bySankei Shimbun
posted2024/11/03 11:01
今季限りでの現役引退を発表した巨人の梶谷隆幸。2006年横浜入団時の同期でいまも親交が深い筆者が見た、長年の壮絶なケガとの戦いとは
「もちろん横浜でやり抜くのがいいに決まっている。でも、環境を変えることで自分がもっと成長できると確信があった。環境が変われば、周囲の人間関係も変わる。いろんな見方や、いろんな意見を受け入れて、もっと自分が成長できる。居心地の良い場所を離れて、もっと自分を追い込んでみようと思った。それが人間として最も成長する道だと思った」
梶谷が横浜で歩んだのは、決して平坦な道のりではない。6年間の二軍での下積みを経て、DeNAベイスターズ初代監督の中畑清氏によってようやく才能を見出されるも、ミスを連発。それでも根気強く起用されるうちに、才能が開花。その後のアレックス・ラミレス監督時代には、「セ・リーグで最も優れた打者」と言わせるまでに成長し、掴み取ったFA権。選手としてはもちろん、人間としてのさらなる成長を求め、新しい環境に挑戦することを選んだ。
巨人移籍1年目で決断した、腰の手術
「同じ野球、同じセ・リーグ。特にやることは変わらない」
2021年シーズン、巨人移籍後の初安打は開幕カードの古巣DeNAを相手に満塁ホームラン。「巨人の梶谷」をこれ以上ない形で印象付けた。もともと、何かに気負ったり、余計なプレッシャーを感じたりしないタイプである。
前年と変わらない安定した活躍をするものの、5月に左太ももを負傷し登録を抹消、1カ月後に復帰するも、7月の阪神戦でデッドボールを受け骨折。復帰を目指していた9月に、高校時代から抱えていた腰痛が悪化した。
「17歳からずっと腰は悪かったけど、ここにきて初めて足が痺れ出した。ブロック注射やあらゆる治療をしても、ダメ。9月のこの時点で手術に踏み切れば、来年の開幕には間に合う。だから、ごまかしながらではなくここで治そうと決めた」
椎間板ヘルニアに、脊柱管狭窄症。腹筋、背筋が強すぎるために、脊椎が潰れ、神経を圧迫していた。通常は、60歳以上の高齢者に多い症状である。それだけ強い負荷をかけ続けてきた反動だった。移籍1年目でいきなりの手術となったが、その後も続いていく野球人生を考慮し、勇気を持って手術に踏み切った。