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「これで、終わったと思った」巨人・梶谷隆幸(36歳)が引退で振り返る“気持ちが切れた”瞬間とは?…同期入団の親友に語った「坂本勇人からの言葉」

posted2024/11/03 11:02

 
「これで、終わったと思った」巨人・梶谷隆幸(36歳)が引退で振り返る“気持ちが切れた”瞬間とは?…同期入団の親友に語った「坂本勇人からの言葉」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

18年間のプロ生活を終えた巨人の梶谷隆幸。引退決断の決定的瞬間はどんな時だったのか。また、同い年の盟友・坂本勇人がかけた言葉は?

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高森勇旗

高森勇旗Yuki Takamori

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Hideki Sugiyama

 巨人の梶谷隆幸が、今季限りでの現役引退を発表した。2007年のベイスターズ入団以来、俊足好打の外野手として活躍し、2021年には巨人に移籍。度重なるケガを乗り越えながら、18年間のプロ生活を全うしてみせた。そんな梶谷とベイスターズの同期入団で、いまでも親交が深いという高森勇旗氏が記す名プレイヤーの素顔とは?《全3回の2回目/つづきを読む》

 2020年に横浜から巨人に移籍後、梶谷隆幸は腰や左膝のケガの影響で、2年以上に渡るリハビリ生活を余儀なくされていた。

長いリハビリ期間で見えてきたもの

 体さえ治れば、また勝負ができる。それは、周囲を見返してやりたいという反骨の精神ではなく、長年かけて積み上げてきた経験であり、自信である。梶谷は、この世界で生きていくための”何か”を、確実に掴んでいた。それは、技術でもなく、メンタルでもない。練習に取り組む考え方だ。

「若い選手を見てると、練習に取り組むほんのわずかな部分に粗さがある。例えば、(坂本)勇人のバッティング練習なんて見ていると、本当に一球一球丁寧に打っている。『ちょっとそこから見ていて』と言われて、一球打つたびに、『俺はこういう感覚で打ちたいんだけど、そこからはどう見える?』と、細かく、細かく確認してくる。

 2400本以上もヒットを打っていても、あれだけ丁寧に練習している。なんとなく、ただ練習をしてはいけない。全て、意味があってやっている。そういう積み重ねが、試合で生きてくる」

 リハビリ中に見えてくる若手の練習への取り組みは、むしろ梶谷にとって復帰後の自信を深めていく。ケガさえ治れば、必ず勝負になる。ただ回復を待つだけの単調な日々の中、体に刻み込まれたこの世界で生き抜くための”思考法“が、モチベーションをつなぐ唯一の支えだった。

 左膝の手術からリハビリに励む2022年オフ、梶谷は年俸1億円を超える選手として初めての育成選手契約となる。背番号は005。FAで移籍し、1年半をほぼリハビリに費やし、ついに育成選手に。心中穏やかではないだろうが、意外にも梶谷は明るかった。

【次ページ】 それでも、この体で勝負するしかない 

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