サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「醜い戦い」自国メディア酷評も…オーストラリア監督が本音「日本からチャンス作るのは難しい」シュートわずか1本“弱者のサッカー”を選んだ理由
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/10/17 17:04
三笘薫ら強力なタレントを擁する日本に対し、守備的な戦い方を徹底したオーストラリア。試合後、トニー・ポポビッチ監督が本音を語った
屈辱的スタッツも「日本からチャンスを作るのは難しい」
オーストラリアと日本は、アジアのライバルとしてしのぎを削ってきた。互いにアウェイでは守備に軸足を置くことがあっても、勝点3を狙うスタンスは明確に示していた。
それがどうだろう。この日のオーストラリアは、これまでと違った。この試合で記録したシュートは、直接FKからM・デュークが放ったヘディングのみで、枠内シュートは1本もない。屈辱的と言ってもいいスタッツだ。彼らは自分たちが劣っていることをはっきりと認めたうえで、割りきった戦いを選んだのである。
試合前にはアクシデントに見舞われていた。チームバスが事故渋滞に巻き込まれ、スタジアムへの到着が大幅に遅れた。「長くても1時間半で着くと言われていましたが、2時間15分かかってしまいました。それも言い訳にはしません」とポポビッチは語る。結果的にこのアクシデントも、守備的な戦いを後押しする要因となったのかもしれない。
「日本から勝点3を取りたいのはもちろんですが、それは決して簡単ではありません。今日は本当にしっかりとした意志を持って、組織的な守りを構築できました。自分の足し算が正しければ、日本は過去3試合で14得点している。スタメン全員がヨーロッパのトップリーグでプレーしている。アジアのベストチームです」
オーストラリアの記者が、「今日の試合で残念なことがあるならば、チャンスを作れなかったことだ」と指摘した。ポポビッチは表情を変えることなく答える。
「自分たちが勝つためのシナリオを作っていくことは重要です。けれど、チャンスが作れなかったのはオーストラリアだけではない。日本に対して3試合で14失点している対戦国がいる。どの国にとっても、日本からチャンスを作るのは難しいと思う」