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「このチームで勝ちたい」CSファイナル進出の立役者・DeNA戸柱恭孝34歳が常にチームのピンチを救える理由…「試合に出ていないときにやれること」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2024/10/16 11:00
10得点で阪神に2連勝を決め、ヒーローインタビューに登場した戸柱。ファイナルステージへの決意を語った
戸柱は「レギュラーを目指さなくなったら選手として終わり」とよく言うが、この揺るぎない気持ちがあるからこそ、山本の離脱という有事であっても、チームを破綻させることなく、CS争いを勝ち抜き、そしてCSファイナル進出に貢献することができたのだろう。
大田泰示と話し合ったこと
ナイスゲームだったとしても、自分のことより「投げたピッチャーを褒めてやってください」と言い、厳しい批判にさらされてもぐっと耐え忍ぶ、チームメイトの誰もが一目を置く存在。視野が広く気づかいのできる優しさを持っている反面、ここぞというときは年長者としてチームを引き締める役割も担っている。思い出すのは春先、今季でチームを離れることになってしまった同学年で早出練習仲間の大田泰示との関係について訊いたときのことだ。
「本当、泰示ほどチームのことを考えている人間はいませんよ。以前、泰示と話していて、ベイスターズは若くて勢いのあるいいチームだけど、明るくて雰囲気がいいっていうのを履き違えてしまうと怖いよねって。“時代”とか言われますけど、やっぱり強いチームってある程度常識内のことはしっかりできているんですよ。泰示とも、ここは自分たちの世代がやらなきゃいけないよねって。きちんとチームを締めるじゃないけど、言える立場にあるので、方向を間違えそうになったときにしっかりと伝えてあげなきゃいけないなって」
ハスキーで味のある声の語気が強まる。今季、残念ながら一軍で大田と合流する機会はなかったが、戸柱は、状況を見ては口うるさい嫌われ役を買って出た。とはいえ、チームメイトに戸柱を悪く言う人間はいない。むしろ、寝ても覚めても投手やチームのことばかり考えているその漢気に信頼は高まるばかりだ。
いよいよ始まる巨人とのCSファイナルステージ。果たして戸柱はキーマンになることができるのか。2017年シーズンにファイナルステージは経験積みだが、あれから過ごした7年間は紆余曲折の日々であり、苦しみながらも成長した実感はある。視野が広く、攻守頼れる“扇の要”としてグラウンドで、そしてベンチでその経験を十二分に発揮するつもりだ。