プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「うん、この感じだな…」アクシデントで緊急登板も「スッと試合に入っていけた」DeNA7年ぶりの日本シリーズ進出には山崎康晃の経験が必要だ
posted2024/10/15 17:17
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
前評判を覆すDeNAの完勝劇だった。岡田彰布監督の退任が決まる阪神の本拠地・甲子園球場に乗り込んでのクライマックスシリーズ(CS)、ファーストステージ。猛虎ファンの大声援を背にするシーズン2位の阪神を圧倒したのは、3位のDeNAだった。
7年ぶりのCSファーストステージ突破
王手をかけた第2戦。1回に阪神・森下翔太外野手のソロで先行を許したが、直後の2回にベイスターズ打線が阪神先発左腕の高橋遥人投手を一気に飲み込んだ。
先頭の宮崎敏郎内野手の左中間二塁打からの3連打で無死満塁とすると、戸柱恭孝捕手が右中間へ走者一掃の逆転二塁打。さらに2死三塁から牧秀悟内野手の適時打も続いて4点を奪った。7回には代打のマイク・フォード内野手のソロ、佐野恵太外野手の3ランなど打者一巡の攻撃で6点を奪って、甲子園球場を埋めた虎ファンを沈黙させた。
「先制されましたが、すぐみんながつないで、つないで、トバ(戸柱)があそこでよく打ってくれたと思います」
試合後の三浦大輔監督は落ち着いた表情で完勝劇をこう振り返った。
「昨日のいい雰囲気を、今日も初回からつなげることができていました。出ているメンバー、出ていない控えのメンバー関係なく、本当にチームがみんな全員で集中してできている」
投打が噛み合った完勝劇。しかもこのチームにとっては、7年ぶりのCSファーストステージ突破である。実はDeNAはずっとポストシーズンで勝てないチームだったのだ。
「それは関係ない。今年は今年です」
そのことを問われると指揮官はこう首を振ったが、2021年の就任以来、三浦監督も22年は阪神に1勝2敗、昨年は広島に連敗でファイナル進出を逃している。チームとしてもアレックス・ラミレス監督の下で3位からの下剋上で日本シリーズ進出を果たした2017年以来、3度のCS進出はいずれもファーストステージで敗退という屈辱の歴史がある。今回が実に7年ぶりの、CSでのファーストステージ突破だったのである。
アクシデントで急遽、継投策に
勝てなかったチームが阪神を撃破した勝利のポイントを挙げるとすれば、初戦でアクシデントを乗り越えチームを勝利へと導いた、リリーフ陣の奮闘ということになるだろう。