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大谷も6打数無安打3三振で“お手上げ”快投のダルビッシュ有が20年目で「だからここまで頑張れる」原動力とは…「“Beat LA”を広めたい」
posted2024/10/14 17:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
敗れてもなお、持ちうる能力を余すところなく披露したベテラン右腕の姿は、際立っていた。
10月11日。ドジャースタジアムで行われたナ・リーグ地区シリーズ第5戦。2勝2敗で迎え、雌雄を決する一戦に先発したパドレスのダルビッシュ有は、7回途中まで2失点の好投を続けたものの、パドレス打線が先発山本由伸をはじめ、ドジャース投手陣の前に沈黙し、勝利をつかむことなく、日米通算20年目となる2024年のシーズンを終えた。
大谷に満足なスイングすらさせなかった
またしても、悲願の世界一には届かなかった。だが、今シリーズで最も注目を集めたドジャース大谷翔平に対しては、非の打ちどころのない、完璧な投球で手玉に取った。第2戦の3打数無安打1三振に続き、第5戦でも3打数無安打2三振と、計6打数無安打3三振に封じた。今季、メジャー初の「50本塁打&50盗塁」を達成したスーパースターを相手に、出塁させないだけでなく、満足なスイングすらさせない投球で、全打席とも大谷がダッグアウトへ向かう後ろ姿を見届けた。
登板前日の5日の時点で、ダルビッシュが大谷への特別な意識を見せることはなかった。日米報道陣から「対大谷」に関する質問が集中しても、顔色を変えることなく、淡々と応答した。
「大谷君だけでなく、他にもすばらしい選手がいる。大谷君だけでなく、全員にしっかり集中して投げたいと思います」
「(大谷とは)まったく違う文化から来ている」
その一方で、2014年の初対面以来、今も続く大谷との交流について、過去に合同トレーニングを行ったエピソードなどを交え、率直な思いを明かした。
「まったく違う文化から来ていますし、お互いにいろんな話をします。そうやって情報交換をしています」
意図的に高ぶる感情を隠していたわけでなく、「自分の中では落ち着いていると思います」との言葉通り、淡々と言葉をつなぐ姿が印象的だった。